2010 Fiscal Year Annual Research Report
尿中及び脳内疲労マーカーを用いた肉体疲労および精神疲労に関する研究
Project/Area Number |
22500614
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
大城 聰 大東文化大学, スポーツ・健康科学部, 教授 (30160485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 成伸 大東文化大学, スポーツ・健康科学部, 教授 (50407657)
簗瀬 澄乃 大東文化大学, スポーツ・健康科学部, 講師 (90249061)
森岡 勝樹 東京大学, 医学部・付属病院, 特任助教 (30351589)
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Keywords | 疲労 / 肉体疲労 / 精神疲労 / 疲労マーカー / 過酸化水素 / 概日リズム / 神経科学 / 神経化学 |
Research Abstract |
疲労にはスポーツや労働による肉体疲労、疾病の心労やストレスによる精神疲労があり、また慢性疲労症候群とよばれる疲労も見出されている。国民就労人口の2/3が疲労を感じており(1999年厚労省疲労研究班)、疲労に関する研究は社会的要請が高く、国民の健康維持・増進に貢献できる。本研究は肉体および精神疲労に対する疲労マーカーを測定することによって疲労を定性および定量することを目的とし、また脳のどの遺伝子の発現が疲労に関与しているか、DNAマイクロアレイ法で調べることも目標としている。 本年度は動物実験として主にラットを用い、通常飼育と運動負荷後に生成される尿中過酸化水素(H2O2)を測定し、H2O2が尿中疲労マーカーとなり得るか検討した。先ず、ラットを通常飼育下で経時的に採尿し、尿中H2O2の測定が可能か試みた。その結果、H2O2の日内変動は三峰性であり、概日リズムが示唆された。また、尿中還元物質を測定した所、二峰性のピークが認められ、還元物質が尿中過酸化水素の日内変動に影響を与える可能性が示唆された。トレッドミルを用いた運動負荷では、負荷前よりも低く、運動負荷後の尿中H2O2は経時的に減少した。この一見矛盾する現象は抗酸化物質の存在を示唆する。そこで運動負荷後の尿をH2O2で滴定した所、H2O2は殆ど消去されたが、残存するH2O2は経時的に減少する傾向が観察された。水浸拘束による精神ストレスの実験においても尿中H2O2の増加が認められ、尿中H2O2は肉体疲労および精神疲労のマーカーとなり得る可能性が示唆された。脳内疲労マーカーについては、マーカータンパク質とそのmRNAをウェスタンブロット法とRT-PCT法によって測定する予定である。尚、本年度の研究成果については国際医学新聞Medical Tribune(2010年10月21日vol.43,No,42,p15)に掲載された。
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