2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスは筋トレーニング及び筋不活動による骨格筋糖輸送適応を制御する
Project/Area Number |
22500618
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
檜垣 靖樹 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10228702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏暁 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (00078544)
清永 明 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (70177955)
飛奈 卓郎 福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (60509678)
山田 陽介 福岡大学, グローバルFUプログラム, ポストドクター (60550118)
須藤 みず紀 福岡大学, 身体活動研究所, ポストドクター (10585186)
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Keywords | 一酸化窒素 / 不活動 / 萎縮 |
Research Abstract |
活性酸素種は、組織の障害や炎症を引き起こすことから悪役として考えられてきた。しかしながら、我々は、一過性の筋運動後で生じる活性酸素種の一種である一酸化窒素(NO)と過酸化水素(H_2O_2)がそれぞれ独立したシグナル伝達系を介して糖取り込みの亢進における重要な役割を果たすことを示した。そこで、活性酸素種が不活動による筋萎縮モデルにおいて糖代謝関連遺伝子発現とタンパク質合成を制御する一つの因子となり、また、それらの発現遺伝子におけるDNAメチル化(エピジェネティクスな調節)のトリガー作用を担っているのではないかという仮説を立てた。本年度は、まず筋萎縮モデルとしてマウスを対象とした片脚ギプス固定モデルを作成し、組織学的な検証を試みた。被験動物として、C57BL/6Jマウス(10-12週齢)を用いた。マウスは、対照脚、反対脚、固定脚群に群わけを行った。固定脚群の片側後肢の下肢を自然な肢位で1週間固定した。ギプス固定1週間後に、麻酔下にてヒラメ筋と足底筋を摘出し、筋湿重量の計測を行った。迅速に凍結保存処理を施し、-80℃にて保存した。凍結した筋の一部は、PSQ96MA装置を用いて、PyrosequencingTM法によるDNAメチル化の解析に使用した。さらに、スライスし組織切片を作成した後、ヘマトキシリン-エオジン重染色を施した。染色された筋組織は、光学顕微鏡にて観察・撮影し、筋線維横断面積の度数分布解析を行った。その結果、固定脚において足底筋では、筋重量、筋線維横断面積が有意に減少し、ヒラメ筋は、筋重量が有意に低下した。さらに、ヒラメ筋における反対脚の筋重量は、対照脚よりも有意な増加を示した。以上より、本研究のモデルは後肢の固定脚における筋萎縮を惹し、逆に反対脚では筋肥大を誘発する可能性を示した。
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