Research Abstract |
青少年危険行動の定義は,「青少年期に始めやすく,本人や他者の現在および将来の健康や生命に重大な危険を及ぼす行動」である。具体的には,喫煙,飲酒,薬物乱用,性感染症や望まない妊娠につながる性的行動,自傷行動,交通安全上の行動,暴力,生活習慣病等に結びつく不適切な食行動,運動不足等が挙げられる。 本研究では,こうした危険行動を包括的に捉えて,我が国の青少年における出現の動向や共通する保護要因の状況等を明らかにするが,本年度においては,まず諸外国における調査研究のレビューにより最新の研究成果の概要を把握した。その中で,危険行動の関連要因ついては,青少年を取り巻く社会経済的な環境要因や家族,友人,学校における心理社会的要因などに注目した報告が見られた。次に,米国CDCのYouth Risk Behavior Surveillance System(YRBS)をはじめとした先行研究を踏まえて調査項目等を吟味し,我が国の高校生1,979人を対象に予備的調査を行った(有効回答率94.4%)。関連要因の尺度の信頼性については,Cronbachのα係数を算出して内的一貫性を検討した結果,健康価値観.77,規範意識.88(下位尺度.69~.84,以下同じ),セルフエスティーム.91(.81~.93),ソーシャルサポート.91(.94~.96),ストレスマネジメントの自己効力感.86(.70~.81),レジリエンス.85(.72~.82)をそれぞれ示し,良好であることが示された。 次年度では,通信制を除く全国の高等学校の中から都道府県を層として無作為抽出された223校の各学年1クラスの生徒を対象に全国調査を実施する計画である。
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