Research Abstract |
本研究の目的は,青少年危険行動を包括的に捉えて,我が国の青少年における危険行動の出現の実態やレジリエンスをはじめとする保護要因の状況等を明らかにすることである。 本年度(2年目)は,都道府県を層として無作為抽出された高等学校の各学年1クラスの生徒を対象に質問紙調査を実施した。調査期間は2011年10月から12月であった。最終的に102校の協力が得られ,1~3年生9,790名の回答票が回収された。有効回答は9,778名(男子5,027名,女子4,751名,有効回答率99.9%)であった。また学年別では,男子1年1,786名(35.5%),2年1,673名(33.3%),3年1,568名(31.2%),女子1年1,659名(34.9%),2年1,645名(34.6%),3年1,447名(30.5%)であった。 危険行動の出現について,本調査結果を2001年に実施した同様の全国調査(高校1~3年生11,113名)の結果と比較してみると,喫煙,飲酒,性行動,交通安全上の行動および暴力などの多くの項目で良好な変化が示された。例えば,過去30日間の喫煙や飲酒の経験者である「月喫煙」や「月飲酒」では,男女ともにいずれの学年においても有意に低率を示した。これらの危険行動については,この10年間での改善が示唆されたものであるが,危惧すべき状況であることには変わりなく,引き続き注目していく必要があると言える。一方,食行動,薬物乱用および自傷行動においては,本調査結果と2001年の結果との間に,明らかな変化はほとんど示されなかった。また,身体運動については,高1および高2で2001年に比べて良好な変化が示されたが,高3では悪化の傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中核的な内容となる全国調査については,抽出された高等学校へ調査協力を依頼し,概ね必要な対象数を確保して,研究実施計画の通りにほぼ実施できた。そして,収集されたデータのクリーニング等を終え,現在までに主な項目を集計し,危険行動の出現状況等が検討されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度(3年目)には,収集されたデータについて,連携研究者等とともに,危険行動とレジリエンスをはじめとする保護要因との関連等の視点からさらに分析し,検討する。また本成果について,国内外において発表し,データの一部をWebページにて公開する予定である。
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