2011 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの運動習慣における離脱-再開過程の意義と関連要因
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22500623
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
戸部 秀之 埼玉大学, 教育学部, 教授 (70273745)
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Keywords | ヘルスプロモーション / 成長期 / 運動習慣 / 離脱 / 再開 / 体力低下 |
Research Abstract |
子どもの体力低下や生活習慣病の低年齢化など、運動習慣に関わる重大な問題が存在し、子どもの運動習慣の形成を促進する効果的な介入法の開発が求められている。これまで、子どもの運動習慣形成に関連する社会的・心理的・行動的要因を明らかにするための研究を進めてきたが、本研究課題では、成長期における運動習慣からの離脱および再開のプロセスに関わる要因を探求することを目指している。 平成23年度は、大学生59名を対象に、小学生から高校生の間の運動経験、運動からの離脱経験、運動の再開・非再開に関連していたと思われる要因について、面接および記述データを通して収集した。さらに、平成22年度に把握した諸要因との関連性や違いを検討したうえで、関連要因の整理を試みた。本年度に得られた情報には平成22年度に把握できた要因が多く見られたことから、運動習慣からの離脱および再開のプロセスに関わる要因は、ほぼ網羅的に把握できたものと考えられる。今年度得られた情報からは、次のような傾向が見られた。離脱については、特定できる要因があったわけではなく、中学校から高校、高校から大学への学校段階の節目により、必然的に実施環境が変化し、一旦リセットされるかのように離脱に至ったケースが多く見られた。また、運動に対する興味や内発的動機づけの程度が強いものでは、新たな環境のもとでも積極的に運動を実施できる機会を探索すること、運動に対する価値観や運動によって得られるプラス面の認識が人によって大きく異なる傾向が見られ、その信念が離脱および再開のプロセスに大きく影響している可能性が示唆された。これらは、健康教育の視点から介入を計画する上で、重要な視点と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、成長期における運動習慣からの離脱および再開のプロセスに関わる要因を探求することを主たる目的としている。本年度中に得られた情報には平成22年度までに把握できた要因が多く見られたことから、運動習慣からの離脱および再開のプロセスに関わる要因は、ほぼ網羅的に把握できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成24年度は、これまでに得られた要因を踏まえ、質問紙調査によって運動習慣の離脱・再開と諸要因との関連性を検討する。その結果からは、運動習慣の形成・維持に向けた健康教育を計画する上で、重要な示唆が得られると期待できる。
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