Research Abstract |
特定健診のデータは健康状態を示す健診データと生活習慣を反映する問診データから構成されており,受診者はそのデータに基づいて階層化(積極的支援,動機づけ支援,情報提供,及び保健指導対象外の各レベル)され,レベルに応じて保健指導が行われる.本研究では,まず,健診データと問診データについて,それぞれ別々に主要因子の抽出を行い,その経年変化に着目して両者の傾向や特徴を明らかにする.本年度は,某事業所での実施結果(約12000件/年,男性約7500件,女性約4500件)を対象に,次の1,2に従って研究を遂行した. 1. 特定健診における対象データの前処理とデータベース化: データ項目は,健康状態を示す健診項目(腹囲とBMI,空腹時血糖とHbAlc,中性脂肪とHDLコレステロール,収縮期血圧と拡張期血圧),および生活習慣を反映する問診項目(運動面,栄養面,生活面を問う計,約40項目)からなる.全データは,受診者の氏名等を匿名コード化したうえで提供を受け,リレーショナルデータベースに格納し,SQLで種々の検索や処理ができるようにした. 2. 健診データと問診データおよびその関係性の分析: 1で作成したデータベースから,継続的に経年受診している者のデータをデータ群として抽出し,それらのデータ群に対して以下の手順で分析を進めた.(1)健診データに関して統計解析的分析を行う.各データ項目のデータ分布,経年でのデータの推移を評価する.(2)健診データの主成分分析・因子分析に基づいて各データ項目間の関係を分析する.(3)健診データの経年での推移を分析し,更にマルコフ過程モデルによる評価も行う.続いて,問診データに関しても(1)~(3)の健診データと同様の分析・評価を行った.さらに,健診と問診の両データの特徴を踏まえ,両者の相関分析をはじめ,ナイーブベイズ法等を適用し,健診と問診間の関係性を分析した.その結果から,保健指導上のポイントとなる健康状態と生活習慣の具体的な結びつきの特性について検討した.
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