2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500644
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
藤本 英男 日本体育大学, 体育学部, 教授 (50097135)
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Keywords | 紫外線ランプ / UV / 柔道場 / レスリング場 / 殺菌効果 |
Research Abstract |
多くのスポーツ競技は勝敗や新しい記録等に、重点がおかれるのが一般的である。一方、現状ではスポーツ競技、教育施設である柔道場畳やレスリング・マット等に棲息する細菌叢および公衆衛生や疫学に関連する基礎的研究の報告は殆どみられない。例えば、レスリングは競技者に擦過傷など外傷が頻発しやすいため、マットに棲息する病原性細菌の感染を受け易い。そのためスポーツ関連の臨床領域では、化膿性疾患や打撲等の傷害も数多く報告されている。 すなわち、レスリングや柔道競技者の一部には、細菌に汚染されたマットや畳を繰り返し使用することによって、細菌等に起因する化膿性疾患や耳介変形の症例も紹介されている。われわれは細菌に汚染されたスポーツ教育施設に起因する、競技者のスポーツによる諸疾患等は回避すべきであると考えている。本報告は柔道場畳やレスリング・マットの細菌汚染を防ぐ目的で、紫外線(UV)ランプを応用し、それらの施設における殺菌効果を検討したものである。 紫外線ランプをレスリング・マットに表面から3mの距離で照射した。その結果、マットでは、細菌は3時間で殺菌された。高さ8.7mでは、12時間以内に100%の殺菌効果が得られた。柔道場畳においても同様の殺菌効果が得られた。紫外線ランプはマットや畳全体を照射することが可能であり、また被殺菌消毒物の劣化や残留ガスの問題はみられない。しかし、使用に際し「安全マニュアル」を確立することが課題であろう。 紫外線ランプによるレスリング場および柔道場の殺菌は極めて高い効果が得られることが分かった。今後、紫外線は国際的にもスポーツ施設の殺菌に常用すべき重要な手法であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
われわれが最初に迅速自動細菌同定装置を応用し、レスリングや柔道場の細菌叢を確立した。その後に、それらのスポーツ施設の細菌汚染を防止する目的で、紫外線照射を試みた結果、空中浮遊微生物を含むきわめて効率のよい殺菌方法であることが判った。今後は紫外線装置をスポーツ施設での感染予防に応用すべきことが明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
スポーツ施設の細菌感染防止のため応用した紫外線装置による、人体への影響を考慮し紫外線装置についての安全策マニュアルの策定が急がれる。更には施設における微生物と紫外線殺菌効果との関連について詳細なデータを得る必要がある。
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