2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子基盤に立脚する栄養指導を目指した糖尿病腎症低タンパク質食事療法の効果機序解明
Project/Area Number |
22500650
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Research Institution | Kagoshima Prefectural College |
Principal Investigator |
有村 恵美 鹿児島県立短期大学, 生活科学科, 助教 (40552964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正久 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (50264403)
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Keywords | 栄養指導 / 食事療法 / 糖尿病 / 糖尿病腎症 / 食事たんぱく質 / 動物モデル / インスリン分泌不全 / レプチン受容体 |
Research Abstract |
【目的】糖尿病腎症患者の増加は顕著で、透析導入者増加の主要因である。糖尿病食事療法のたんぱく質量は、腎症第2期においても健常人よりも高い設定で、炭水化物を抑えるあまり高たんぱく質食傾向である。このような高たんぱく質食となる食事療法が腎症発症・進展の一要因ではないかと考えている。症例検討のみでは、食生活に関する長期研究・機序解明は困難である。本研究では、腎機能や糖代謝に及ぼす食事の影響を分子レベルで解析可能な動物モデルを確立する。さらに、本モデルを用いて、食事療法の効果機序を明らかにし、適正な食事療法開発のための科学的根拠の獲得を目的とする。 【方法】4週令雄性2型糖尿病モデルマウスと野生型マウスを用いた。異なる3種類の食餌(12%、18%、24%:たんぱく質に由来するエネルギー比率)にて、(1)自由摂食条件、(2)ペアーフェッド条件にて腎機能・糖代謝について検討した。 【結果】1)2型糖尿病腎症発症・進展に及ぼすたんぱく質量の影響について解析が可能なマウスモデルを確立した。2).糖尿病マウスにおいて、自由摂食条件では、たんぱく質量が多い程、有意に総摂食・摂水量が多く、腎臓に対する悪影響(尿中アルブミン排泄増、腎肥大、組織変化)、糖代謝に対する悪影響(空腹時血糖・尿糖高値)が大きかった。ペアーフェッド条件では、高たんぱく食による糖代謝(ヘモグロビンAlc・空腹時血糖・尿糖高値、膵島β細胞比率低値)に対する悪影響が認められた。3),野生型マウスの自由摂食条件では(摂食量に差がない)、高たんぱく食による腎臓に対する悪影響(尿中アルブミン排泄増、腎肥大、組織変化、レニンアンギオテンシン系遺伝子発現増強)が認められた。 【考察】糖尿病と診断された時点から、食事たんぱく質量を抑える重要性が示唆された。確立した動物モデルを用いて、より詳細な効果機序を明らかにしたい。
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