2011 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の筋力と血流量を維持・改善するための運動プログラムの作成
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22500662
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石原 昭彦 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (90184548)
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Keywords | 高齢者 / 血流 / 筋力 / 筋持久力 / 運動プログラム / 走運動 |
Research Abstract |
研究目的:筋萎縮や筋力低下の程度は、酸素やエネルギー源を運搬する血流に大きく依存すると考えられる。筋活動中に血流を維持できれば、積極的な筋活動を継続することができる。本研究では、60歳以上の高齢者を用いて「高齢者の筋力と血流を維持・改善するための運動方法を明らかにすること」を目的とする。すなわち、高齢期において血流を増大できる運動強度を明らかにして、最適な「高齢者のための運動プログラム」を確立することを目的とする。研究方法(今年度):特別な運動を行っていない60歳代(男性15名、女性14名)と70歳代(男性14名、女性14名)の被験者に研究に参加してもらった。各被験者から、最大努力での大腿筋の屈曲、及び伸展筋力を測定した。また、安静時、及び低強度から高強度での30分間の歩行前後に大腿筋の外側部と内側部(左右両側とも)の表面から血流を測定した。筋力の測定には、研究室で独自に開発した「高齢者用筋力測定装置」を使用した。屋外で低強度(1時間あたり2~3km進む速さ)、中強度(1時間あたり約3~4km進む速さ)、高強度(1時間あたり4km以上進む速さ)の速度で、30分間の連続した歩行運動を行ってもらった。再現性を確認するために、1週間から2週間後に、再度、安静時、及び異なる運動強度の歩行運動を30分間にわたり行ってもらい、歩行運動の前後で血流を測定した。結果:年齢や歩行速度に関係なく筋力や筋持久力の高い高齢者ほど大腿部の血流が多く、さらに運動直後に十分な血流が維持されていた。このような傾向は、運動を継続することによって改善できるかどうかを次年度の研究で明らかにする。さらに、高齢者がどのような筋力・筋持久力を有していることにより血流変化への影響が認められるのかを明らかにする。それにより高齢者の筋力と血流を維持・改善するための運動プログラムを確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の研究期間で2年間が終了して、当初の計画通りに高齢者の基礎的なデータ(筋力、筋持久力、血流)の取得ができ(研究の第1年度)、運動によるそれら測定値の変化を知ることができた(研究の第2年度)。研究の途中で離脱する高齢者が多数いるのではないかと心配したが、参加者全員に研究全般にわたって積極的に取り組んで頂くことができた。以上の通り、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度にあたる本年度は、運動を継続することによって筋力、筋持久力、血流に改善が認められるのかどうか、認められる場合、それらの相互関係はどのようになるのかを明らかにする。これらを検討していくことによって、高齢者の筋力と血流を維持・改善するための運動プログラムを確立する。現在のところ、研究計画の変更や研究を遂行する上での問題点は認められない。
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Research Products
(4 results)