2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500670
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
遠藤 洋志 琉球大学, 教育学部, 准教授 (90369926)
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Keywords | 運動 / 低酸素 / EIAH |
Research Abstract |
最近われわれは,女性では間欠的なスプリント運動や30秒間の一過性のスプリント運動により運動誘発性動脈血低酸素血症(EIAH)が惹起されることを報告している.一方,高酸素ガスの吸入は持続運動によるEIAHを改善することが知られているが,このような効果がスプリント運動でも適用されるかは不明である.そこで,本研究では,スプリント運動による女性のEIAHを高酸素ガス吸入により改善できるかどうかを検証した.被験者は健常な女子大学生9名(20.7±0.4歳)とした.運動は最大努力による30秒間のスプリント運動とした.運動負荷は各被験者の最大無酸素パワーを発生させる負荷の60%相当とした.実験は,常温常圧下で実施した.吸気酸素濃度は,20.9%の常酸素ガスと28%の高酸素ガスとし,被験者には実験条件をブラインドした.安静時,運動直後,および回復期に動脈血酸素飽和度(SpO_2),心拍数(HR),および血圧(BP)を測定した.SpO_2は運動終了後の30秒間は2秒毎に測定した.その結果,常酸素ガス吸入下では被験者9名中5名の者で運動直後のSp_O2が95%以下(軽度EIAH)となり,これ以下の状態が運動終了後も14秒にわたり持続された.一方,高酸素ガス吸入下では,同被験者のSpO_2が運動直後に正常値を示した.しかし,回復期にはSpO_2が漸減し4秒間ほど軽度EIAHの水準(SpO_2<95%)まで低下し,その後急速に回復した.被験者毎に求めた回復期におけるSpO_2の最低値は,常酸素下では90.8±1.5%と中等度のEIAH水準(SpO_2<92%)まで到達したのに対し,高酸素ガス吸入下では94.2±1.6%(p<0.05)と軽度のEIAHに留めることができた.このように吸入酸素濃度の条件により運動および回復期のSpO_2の動態に違いが認められたのに対し,生理応答は測定中一貫して同等であり,運動中の仕事量にも差は生じなかった.以上の所見より,28%の高酸素ガスの吸入はスプリント運動による女性のEIAHの一部を改善するが,運動および回復期の生理応答,さらに仕事量には影響しないことが示唆された
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Research Products
(1 results)