2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500670
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
遠藤 洋志 琉球大学, 教育学部, 准教授 (90369926)
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Keywords | 運動 / 低酸素 / EIAH |
Research Abstract |
今年度は,EIAHの抑制とともに運動パフォーマンスを改善するための方法論の確立をめざし,高濃度酸素ガスに低濃度二酸化炭素を添加した混合ガス吸入下におけるスプリント運動および回復期の生理応答を検討した.EIAHの発症経験がある女子大生(6名)では,20%酸素ガス(窒素バランス)吸入下での最大努力によるスプリント運動(30秒)により,運動直後の動脈血酸素飽和度が89%台まで低下したのに対し,30%酸素+5%二酸化炭素混合ガス(窒素バランス)と30%酸素ガス(窒素バランス)の吸入下での同運動では,運動直後の動脈血酸素飽和度が93%前後に留まった.ただし,30%酸素を単独配合したガスのみに安静値(98%)と統計学的な有意差が認められた.この結果は,EIAHの抑制には,高濃度酸素ガスよりも高濃度酸素ガスに二酸化炭素を添加した混合ガスの吸入が効果的である可能性を期待させる,また,20%酸素ガス吸入下での動脈血酸素飽和度は,運動後10秒前後で最低値(83%)を迎え,安静レベル(98%)までの回復には20秒程度を要したが,30%酸素を配合した2つのガス吸入下では最低値が90%台に留まり,安静レベルまでの回復は16秒前後にまで短縮された.このように,運動後の回復期における動脈血酸素飽和度の応答には高酸素ガスへの二酸化炭素の添加による差異は認められなかった.一方,運動中および回復期の心拍数,血圧,主観的運動強度といった生理応答の指標はいずれのガス吸入下でも同水準で推移し,運動時の総仕事量も同等だった.このことは仮説に反し,高濃度酸素ガスに二酸化炭素を添加した混合ガス吸入によっても運動パフォーマンスが改善しないことを示唆している.これらの結果には,今回の運動がスプリント運動であったことが影響した可能性が考えられる.今後は,用いる運動の種類を再検討する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究仮説が一部棄却される結果が得られているものの,当初の計画に即し実験が進行しているため.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実験結果を踏まえて,次年度は運動様式に検討を加えながら,当初計画した実験を遂行する.この中では,本研究の根幹をなす仮説である「高濃度酸素ガスに二酸化炭素を添加した混合ガスの吸入が高濃度酸素ガス単独の吸入よりも運動パフォーマンスの改善にポジティブに作用する」ことを運動後の臨床症状の有無,疲労回復の観点から検討する.
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Research Products
(5 results)