2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500673
|
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
篠田 元扶 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70084605)
|
Keywords | 卵巣摘出 / 肥満 / 卵胞ホルモン / 自発運動活性 / 脳内アミン |
Research Abstract |
卵巣摘出(OVX)ラットに生じる肥満の一因としてE2欠如に伴う自発運動活性の低下が考えられることから、平成23年度は自発運動活性と関連する脳内アミンのOVX後の変化について追究した。 本研究に際し、先ず無処置雌ラットの性周期に伴う運動活性の変化と脳内アミンの関係を調べた。即ち自発運動活性が最も高い発情前期と自発運動活性が最も低い発情休止期における脳脊髄液中のMHPG、DOPAC、および5HIAAを測定したが、各物質とも両性周期相間に有意差は認められなかった。この結果から、自発運動活性に影響を及ぼすと考えられるセロトニン、ドパミン(DA)、ノルエピネフリン(NE)の両性周期相における分泌レベルの差は脳脊髄液中には反映されない程度であることが示唆された。 次に、成熟雌ラットの卵巣を摘出し、4週間経過して体重が有意に増加した時点でラットを回転カゴ装置に収容した。OVXラット(OVX群)の自発運動活性は観察期間を通して低値を示したが、OVXラットに徐放性E2を投与(OVX+E2群)すると自発運動活性は有意に亢進した。両群の自発運動活性の差が最大になった時点でラットを安楽死させて脳を摘出し、青斑核中のNE、線条体および側坐核中のDAおよびその代謝物であるDOPACの濃度を測定した。この結果、青斑核中のNEはOVX群と比較してOVX+E2群において有意に増加していた。一方、線条体および側坐核中のDAおよびDOPACの濃度およびその比率には両群間に有意差は認められなかった。以上の結果から、OVXラットに認められる自発運動活性の低下は青斑核中のNEレベルの低下に伴うものであり、DAの関与は少ないことが推察された。 なお今年度の実験に付随して、前年度観察したOVX後の肥満に伴うレプチン抵抗性発現の原因究明のために、肥満ラットの脂肪細胞の電顕観察を行った。その結果、肥満ラットの脂肪組織において軽度の慢性炎症所見を認めた。この現象についての追究は今後も継続して行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、中脳縫線核中の5-HTについても測定する予定であったが、予備実験の結果から今回は線条体および側坐核中のDAおよびDOPAC、並びに青斑核中のNEに注目してOVXラットの自発運動活性との関係を追究した。その結果、OVXラットの自発運動活性低下には脳内NEが関係している可能性が示唆された。これにより、平成23年度の目的はほぼ達成されたと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により明らかになったOVXラットにおける肥満成立の要因は以下のとおりである。 ・血中PYYレベルが低いため摂食抑制が生じにくい。 ・血中レプチンレベルは高値でレプチン抵抗性が生じていると考えられ、このため摂食抑制が生じにくい。 ・安静時体温は低く、基礎代謝率が低い。 ・脳内NEレベルが低く自発運動活性が低い。 これらの知見を基に、平成24年度は当初の計画通りOVXラットの運動能力および筋力について追究する。
|
Research Products
(4 results)