2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血ストレスセンサーとしてのグルコース受容体及びオレキシン神経の新規役割の解明
Project/Area Number |
22500683
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
徳山 尚吾 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (70225358)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 賀寿夫 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30432636)
藤田 和歌子 神戸学院大学, 薬学部, 助教 (30382328)
|
Keywords | 脳虚血ストレス / 糖代謝機能 / インスリン / オレキシン-A / オレキシン受容体 / 虚血後耐糖能異常 / 視床下部 / グルコース受容体 |
Research Abstract |
本年度の研究より、一過性脳虚血ストレス負荷による虚血後耐糖能異常発現と連動して、肝臓におけるインスリン受容体の活性化量低下と、糖新生関連酵素の発現上昇が生じることが明らかとなった。また、虚血ストレス負荷により、肝臓内インスリン受容体量そのものが減少していたことから、これがインスリン受容体活性化量の減少の引き金になったと考えられる。虚血ストレス負荷時においては、肝臓におけるphosphatidylinositol 3-kinaseを介したAktの活性化ならびに核内転写因子であるforkhead box O1(Foxo1)の活性などのインスリンシグナルの消失が、糖新生関連酵素発現誘導シグナルを亢進させ、血糖値の上昇(虚血後耐糖能異常発現)に関与したと推察される。 興味深いことに、脳内オレキシン受容体の活性化は、虚血ストレス負荷による(1)肝臓におけるインスリン受容体量の減少、(2)虚血後耐糖能異常の発現、(3)神経障害の発現、のいずれも有意に抑制した。上述したことを考慮すると、オレキシンによる虚血後耐糖能異常発現抑制ならびに神経障害抑制のためには、肝臓におけるインスリン受容体の発現維持が重要であると考えられる。偽手術群においても、脳内オレキシン受容体の活性化により、肝臓でのインスリン受容体量の増加、糖新生関連酵素の減少が観察されたことから、虚血ストレス負荷後におけるオレキシン-Aの投与により、インスリン受容体の発現誘導が生じ、虚血ストレス負荷によるインスリン受容体量の減少が抑制されたと考えられる。加えて、予備的検討により、その作用部位として視床下部のオレキシン受容体活性化のみでも十分であることが示唆された。これまでに、脳内オレキシン受容体の作用として血流改善を介した神経障害抑制作用が報告されているが、本知見は、それとは区別される、新たな脳内オレキシン受容体の作用と考えられる。
|
Research Products
(14 results)