2011 Fiscal Year Annual Research Report
肥満の脂肪食嗜好形成と心理ストレスによる過食・肥満促進における脳内報酬系の影響
Project/Area Number |
22500685
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
小山 進 福岡大学, 薬学部, 准教授 (60461505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美根 和典 福岡大学, 薬学部, 教授 (60150421)
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Keywords | 肥満 / 脳内報酬系 / ドパミン自己受容体 / 高脂肪食 / 中脳腹側被蓋野 / 電気生理学 |
Research Abstract |
[研究成果の具体的内容] 高脂肪食負荷肥満マウスを用いて、脳内食報酬系中枢の神経機能の変化に関して電気生理学的研究を行った。肥満マウスの脳内食報酬系中枢である中脳腹側被蓋野(ventral tegmental area:VTA)ドパミン神経機能の変化に関して、以下の2点を明らかにした。 (1)高脂肪食負荷肥満マウスの脳内食報酬系中枢であるVTAドパミン神経では、ドパミンD2自己受容体を介した自己抑制機能低下が生じる。これは、D2受容体刺激によるG蛋白結合型内向き整流性K^+(GIRK)チャネル電流の増強が有意に低下することにより生じていた。 (2)高脂肪食負荷肥満マウスのVTA GABA神経においては、神経の興奮性が非肥満マウスに比べて有意に低下していることも新たに発見した。そして、肥満マウスのVTA GABA神経自発活動の低下は、非脱分極時に特異的に観察されることが明らかになった。 [研究成果の意義と重要性] 今後の研究目標は、肥満におけるVTAドパミン神経およびVTA GABA神経の興奮性を制御する受容体や電位依存性イオンチャネルに関して詳細な電気生理学的解析を行うことである。本年度の研究成果を基盤として、肥満による脳内食報酬系機能変化の細胞レベルでの機序究明が期待できる。そして、既存のドパミン関連薬剤を用いた新規肥満治療法の開発に関して有用な知見が得られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に挙げた研究課題はすべて達成して、これを学会で発表した。更に、研究課題以外にも、本研究進展に重要な科学的知見をみつけた。今後、これらの研究成果を英文論文にまとめて、科学雑誌に掲載する。また、研究室ホームページ等で、一般人に分かりやすい研究成果の開示を行えば、平成22年度に掲げた本研究計画当初の課題は、ほぼ100%達成される。以上の研究実績状況から上記の区分を選んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満におけるVTAドパミン神経およびVTA GABA神経の興奮性を制御する受容体や電位依存性イオンチャネルに関して詳細な電気生理学的解析を行う。 課題1.肥満マウスVTAドパミン神経でみられるD2受容体刺激によるGIRKチャネル電流増強の低下は、D2受容体に特異的な反応であることを確認する。 課題2.肥満マウスVTA GABA神経でみられる自発活動の低下に関与する電位依存性イオンチャネルを同定する。
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