2011 Fiscal Year Annual Research Report
交代制勤務者の心身の健康保持増進に最適な身体活動・運動に関する新たな指針の作成
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22500690
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東郷 史治 東京大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (90455486)
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Keywords | ストレス / 身体活動 / 心身の健康 / 交代制勤務 / 栄養 / 疲労 / 睡眠 |
Research Abstract |
神奈川県内の医療機関に勤務する看護師30名を対象として日常生活時の身体活動、自律神経活動、睡眠、食事、眠気、疲労、気分等に関するモニタリングを日勤日、夜勤日、休日に実施した。これらのモニタリングは小型で携帯性に優れた機器(加速度センサー、携帯型コンピュータ、心拍計)を用いて経時的に実施した。このモニタリングは、生活習慣や心身の問題の現状をより浮き彫りにし明確にとらえようとするものである。具体的には、腰に装着する加速度センサーを用いて身体活動を測定し、眠気、疲労、気分については、携帯型コンピュータに質問紙調査を実装させ、日常生活時のものを把握した。また自律神経活動については、24時間心電図計測器を用いて心電図波形を記録し、心電図波形のR波の時間間隔時系列データについてスペクトル解析等を用いて解析することで心臓自律神経調節系機能を評価した。これまでに、常日勤者と交代制勤務者を対象として、日勤時の身体活動と自律神経活動の概日リズム、および食事のタイミングと睡眠-覚醒パターンを解析し比較した。その結果、食事のタイミング、睡眠-覚醒パターン、身体活動の概日リズムは両群で有意な差が認められなかったものの、心電図RR間隔時系列データから推測された副交感神経活動と交感神経活動に関する指標の概日リズムの位相は日勤者と比較して交代制勤務者の方が有意に後退していた。自律神経活動は概日リズム時計と密接に関連することを考え合わせると、交代制勤務に従事する看護師では、日勤時においても概日リズム時計の位相が後退し、睡眠-覚醒パターンや勤務時間帯との関係性が適切でない状態で勤務していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画どおりに調査が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は初年度と同様のアンケート調査を予定していたが、研究代表者の所属機関が変更になり、当初予定していたアンケート調査に必要となる予算が獲得できる見通しがまだたたないこともあり、特徴的な対象者(疲労感が高い、勤務時の眠気が高い、抑うつ傾向)を含めた数十名を対象にモニタリング調査とアンケート調査を実施し、どのような運動・身体活動の生活習慣、さらには睡眠、食事の影響が心身の健康に影響を及ぼすのかについて個人内の詳細なデータを用いて同定することとした。なお予算の問題が解決次第、大規模アンケート調査を実施する。
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