2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500699
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
杉井 潤子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70280089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瓜生 淑子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (20259469)
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Keywords | ケア / 受容性 / 高齢者介護 / 保育・育児 / 対等互酬性 |
Research Abstract |
本研究は、長寿高齢社会にあって、従来、別次元でとらえられてきた「保育における要養護性」と「介護における要介護性」を理論的に統合し、生-老-病-死を紡ぐ連続体として理解する試みを行う。具体的にはケアの受容性・対等互酬性という観点から、ライフコースにおけるチャイルドケア(要養護性)にみられる「子どもの正の学習」(できるようになることを学ぶ)と、ナーシングケア(要介護性)にみられる「高齢者の負の学習」(できなくなることを学ぶ)とに焦点をあて、成長と老化の価値を探り、最終的には要介護性(ケアされることを受容すること)を相対的に理解することの意義を見出すことを目的としている。平成22年度は「保育/育児」と「介護」を比較し、ケアの同質性と異質性を検証する手立てとして、北欧福祉先進国であり、脱家族化が進むと考えられるフィンランドのヘルシンキ市の、(1)子どものケア関連施設:市の政策方針のもと幼児と高齢者との交流プログラムを進める保育園、妊娠-出産、就学前までの保健・子育て支援施設、(2)高齢者のケア関連施設:高齢化研究所、高齢者サービスホーム、デイサービス施設、在宅家族介護者連合、(3)ケア教育施設:保育士・看護師・介護士などケア教育職業専門学校等を訪問し、ケア概念の捉え方について聞き取り調査および資料収集をおこなった。福祉国家にあって構造的に子どもと高齢者双方のケアについてそれぞれに充実した方策あるいはケア教育統合に向けての志向は見られるものの、夫婦単位の介護ケア、親子単位の保育ケアという枠組みのなかで、介護よりも子どものケア主軸の社会システムが強固に存在していることや、夫婦間の介護支援が立ち遅れていることが明らかとなった。
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