2011 Fiscal Year Annual Research Report
肢体不自由者にも適用できる衣服設計理論の構築に関する調査研究
Project/Area Number |
22500706
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
見寺 貞子 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 教授 (10268576)
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Keywords | 肢体不自由者 / 衣服デザイン / 三次元人体計測 / ユニバーサルデザイン / 快適な衣生活 |
Research Abstract |
本研究は、肢体不自由者の中で最も増えると予測される片麻痺者を被験者とし、彼ら・彼女らの身体特性データからADLに適用できる衣服設計理論の構築を目指すものである。昨年度は、肢体不自由者に対して、三次元人体計測を実施したが、患側腕が体幹に接触している場合は計測不可であった。したがって、本年度は、さらに片麻痺者59人に対してマルチン計測法を用い人体計測を実施した。そして片麻痺者の麻痺症状・体型の関係と衣服設計との関わりを勘案して、自然型姿勢(患側肩峰高の計測値が健側よりも低い被験者)と補正型姿勢(患側肩峰高の計測値が健側よりも高い被験者)の左右差に着目し、左右27項目を、t 検定を用い考察を行った。 結果は、以下のとおりである。 1)自然型・補正型姿勢の両者に、「肩峰高」「乳頭高」「大腿囲」「上腕囲」「肩峰高-ウエスト高」の5項目の有意差があらわれた。 2)自然型姿勢では、「肩峰高」「乳頭高」「ウエスト高」「外果端高」「大腿囲」「下腿最大囲」「下腿最小囲」「上腕囲」「肘囲」「肩傾斜」「前丈+後丈」「肩峰高-ウエスト高」の12項目に、自然型姿勢のみには、「ウエスト高」「外果端高」「下腿最大囲」「下腿最小囲」「肘囲」「肩傾斜」「前丈+後丈」の7項目に有意差があらわれた。 3)補正型姿勢では、「肩峰高」「乳頭高」「前丈」「大腿囲」「腕付根囲」「上腕囲」「前丈-乳下がり」「肩峰高-ウエスト高」の高さ8項目に、補正型姿勢のみには「腕付根囲」「前丈」「前丈-乳下がり」の3項目に有意差があらわれた。 4)片麻痺者の体型特性として、体幹部の高さ項目に左右差が見られ、身体が傾斜している状態が伺えた。 5)上肢・下肢の回り寸法に左右差が見られるのは、身体のバランスを取るために、健側(健常側)の筋力が発達し、周囲長に影響したと考える。 6)自然型・補正型姿勢固有の特性もあらわれ、自然型姿勢の方が高さ・回り寸法・丈・傾斜角と左右差が生じている項目が多いことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当所は3D人体計測器を用いて体型計測を実施し、そのデータを活用して体型の類型化や衣服設計理論の基礎資料にと考えていたが、不可能な事がわかった。しかし、その代替えとしてマルチン計測法を用い人体計測を実施して研究を進めた結果、そのデータを用いて片麻痺者の体型特性が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
片麻痺者の体型特性が明らかになったので、今後、片麻痺者の衣服設計理論の知見となり得るような分析考察を行い、目標達成を目指したい。
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