2011 Fiscal Year Annual Research Report
人と環境にやさしい衣生活の再生―身近にある素材を活用した色彩環境の構築―
Project/Area Number |
22500713
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
前川 昌子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (90144633)
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Keywords | 環境 / 衣生活 / 植物色素 / 色彩 |
Research Abstract |
タマネギ外皮を用いた染色布の紫外線防止効果の有効成分のHPLC分析 これまでに、タマネギ外皮抽出液と試薬ケルセチンを用いた羊毛の染色性について調べてきた。平成22年度は、タマネギ外皮抽出液による染色布とケルセチンによる染色布の紫外線防御効果について比較した結果、タマネギ外皮中のケルセチン以外の成分が紫外線防止効果に有効である可能性が考えられたことから、平成23年度はこれについて、フォトダイオードアレイ検出器付き高性能液体クロマトグラフィー(HPLC-PDA法)を用いて実験を行った。成分分離して吸収スペクトルを検討した結果、紫外部に最大吸収をもつ成分が、ケルセチンというのではなく、タマネギ外皮中に有利に存在することが明らかとなった。 サトウキビの葉を単独で用いた緑色染色 サトウキビの葉中の主要色素については、黄色色素の多くがそうであるようにフラボノイド系色素であると考えられている。本研究ではサトウキビの葉を用いて緑色染色をするための条件を確立したいと考え実験を進めてきた。平成23年度は、サトウキビの葉抽出液による染色布を銅媒染することによって淡色の緑色染色物が得られること、用いる葉の量が多くなると黄色化する傾向があることを明らかにした。 柿タンニンを用いた染色の発色促進 柿渋染めにより堅牢な染色布を得るためには、付着した色素の濃色化を加熱処理によって行うことが有効である。低エネルギーで発色促進するため、平成22年度は染色の際に染料液に酢酸ナトリウムを添加して、その濃色化に及ぼす影響を検討した。平成23年度は、酢酸ナトリウム添加の作用機構について検討し投稿活動を行った。これは日本家政学会誌に受理され、5月号に掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タマネギ外皮を用いた染色に関しては順調に進んでいる。柿タンニンを用いた染色における酢酸ナトリウムの効果についても一定の成果が得られた。しかし、サトウキビの葉を用いた染色では、サトウキビの葉の採取の時期によりばらつき、色彩の厳密な再現性を得るのが困難なことがある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は最終年度となるので、HPLC-PDA法を活用して研究を推進し、サトウキビの葉による染色で緑みや黄みを表わす成分に関して多くの情報を得たい。
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Research Products
(2 results)