2011 Fiscal Year Annual Research Report
生活の場としての児童養護施設・自立援助ホームの空間計画の課題とそのあり方
Project/Area Number |
22500714
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
今井 範子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30031719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 唯 奈良女子大学, 人間文化研究科, 助教 (20321325)
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Keywords | 児童養護施設計画 / 生活の場 / 幼児・児童 / ケア形態 / ケア単位 / 生活様態 / 生活自立 / 生活行動 |
Research Abstract |
1.児童養護施設を対象とする全国調査(全国の580施設すべてを対象。住生活、施設空間・建築計画面からの質問紙調査と聴き取り調査併用)、および全国調査の中から、新しい試みを持つ先進的な施設について、事例調査、とりわけ「ケア単位規模、空間構成、住生活と空間改善、地域とのつながり等」に着目した聴き取り調査と観察調査を実施した。これらの調査結果から、ケア形態^<1)>の小規模化(小舎化)の流れの一方で、10年未満の新しい施設のなかに、大舎制施設や中舎制施設を建てる例や、大舎や中舎を小舎制施設に併存させる例、また大舎や中舎を残したままケア単位^<2)>の小規模化を図る施設例が存在し、必ずしも小舎化の方向にすべてが進展せず、大舎や中舎の長所が評価されていることを明らかにした。ケア形態の小規模化によって実現する家庭的な規模の空間を活かしながら、空間の閉鎖性の問題を防ぐために、子ども同士や職員との関わりを重視した居室、ケア単位を超えた共用空間、家事の生活自立に関わる厨房や洗濯空間などの、小規模化に伴う計画上の課題とそのあり方について指摘した。 1)ケア形態;1舎あたりの定員数。大舎:20名以上、中舎:13~19名、小舎:12名以下。 2)ケア単位;日々の生活プログラムを共にする単位。 2.デンマーク・スウェーデンの行政と施設における関連資料収集調査から、家庭的環境の里親制度が中心であり、里親教育制度が充実していることがわかるが、日本では諸理由から里親制度が進展せず、施設がその養育役割を担っており、本研究で着眼した、ケア形態の小規模化にともなう考慮すべき計画の必要性と重要性が確認できた。 3.日本家政学会大会・関西支部、日本建築学会大会、アジア地区国際家政学会議(フィリピン大会)において、これまでの研究成果を計4件口頭発表するとともに、関連研究資料を収集した。加えて計3件の査読付論文を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
生活の場としての児童養護施設・自立援助ホームにおける、住生活上の問題点、施設空間・住空間の改善点、計画上の課題とそのあり方について明らかにし、当初の研究目的が達成されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度(最終年度)において、研究結果のとりまとめ・総括にむけて、さらに研究資料収集と成果の公表を推進したい。
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Research Products
(7 results)