2011 Fiscal Year Annual Research Report
戸建住宅地の配置構成からみたタウンセキュリティのあり方に関する研究
Project/Area Number |
22500715
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
瀬渡 章子 奈良女子大学, 研究院生活環境科学系, 教授 (60179348)
|
Keywords | 防犯住宅 / 防犯環境設計 / 防犯まちづくり / 戸建住宅地 / コモンスペース |
Research Abstract |
(研究目的)本研究は、犯罪の起こりにくい戸建住宅地のあり方を、配置構成に焦点を当てて追究しようとするものである。戸建住宅の防犯対策といえば、個々の住宅の堅固性を追究するか、もしくは欧米型のゲーテッド・コミュニティに代表されるように住宅地全体を「要塞化」するといった手法など、二極化したアプローチが注目されている。そこで本研究は、住宅と屋外空間(庭、道路)との関係、住宅と住宅との関係など、住宅地の配置構成に着目し、防犯性、持続可能性の高い戸建住宅地のあり方を検討しようとするものである。 (実績)昨年度に引き続き、防犯視点からも新しい試みと考えられる様々な配置構成をもつ戸建住宅地の現地視察を行った。その中から調査対象住宅地として、奈良県香芝市真美ケ丘ニュータウンに注目し、配置構成が異なる数ブロックを抽出して、居住者の生活実態、防犯意識などについて質問紙調査を行った。さらに昨年度に調査を実施した愛知県小牧市の桃花台ニュータウンにおいても補足として聞き取り調査を行った。これらの調査を通して、一般的な戸建住宅とは異なり、コモンスペースを有する住宅地では、居住者の領域意識は強いことが明らかになったが、必ずしも住居侵入などの犯罪に強いとはいえないことも判明した。住宅地の防犯性向上には、領域意識の向上だけでなく、防犯環境設計の具体化、実質化も必要とされることが示唆された。この点はさらに次の年度において詳細な分析を進める予定である。また米国・南カリフォルニアの戸建住宅地を訪問し、観察・聞き取り調査を行った。治安向上は、ゲーテッド・コミュニティによる住環境の要塞化によるだけでなく、同じ地域であっても住宅地の配置構成の工夫・管理手法などによって開放的で安全な住環境を実現できるという重要な知見を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従って、国内調査、海外調査を実施し、有意な成果を得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度にあたるため、これまでの研究の総括を行いたい。 すなわち、戸建住宅地の工夫された配置構成が、一般的な配置構成の住宅地と比較してどの程度に防犯的であるかについて、居住者の意識や実際の犯罪実態を通して明らかにする。同時に、両タイプの住宅地の防犯上の課題を、ハード、ソフト面で明らかにしていきたい。
|
Research Products
(2 results)