2011 Fiscal Year Annual Research Report
吸水部分を水洗トイレに流せる紙おむつ実現のための基礎研究
Project/Area Number |
22500721
|
Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
吉村 利夫 福岡女子大学, 人間環境学研究科, 教授 (20347686)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 留美子 福岡女子大学, 人間環境学部, 助教 (50199303)
|
Keywords | 紙おむつ / 高吸水性樹脂 / 生分解性 / セルロース |
Research Abstract |
紙おむつは今や育児と介護の必需品であり、その消費量は拡大している。使用後の紙おむつはおもに焼却処理がなされているが、多量の水分を含んでいるために燃焼の妨げとなっている。使用後の紙おむつから吸水部分を分離して水洗トイレに流すことができれば、焼却時の環境負荷を低減することができる。これを実現するためには、吸水部分に含まれる高吸水性樹脂を下水処理場の活性汚泥中で生分解可能なものにすることが鍵となる。生分解可能な高吸水性樹脂を実現するための原料として、綿セルロースを用いて検討した。綿セルロースは種々のセルロース類の中で分子量が高く、高吸水性を達成しやすいと考えられるためである。最も代表的な水溶性セルロース誘導体であるカルボキシメチルセルロースを用いた場合、高吸水性と生分解性の両立が困難であった。一方、カルボキシエチルセルロースの場合は両立可能な範囲が存在することが判明したが、合成方法が複雑であった。グルタル酸無水物を用いてセルロースをエステル化することによって、コハク酸エステル物よりも良好な吸水性と生分解性を有する高吸水性樹脂を得ることが可能であった。これは、セルロース骨格と親水基との間に適当なスペーサーがあると両立可能な範囲が存在する可能性があることを示唆しており、引き続きこのコンセプトを元に検討を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セルロース骨格と親水性側鎖との間に適当なスペーサー基が存在すると、吸水性と生分解性の両立が可能であることが示唆された。このコンセプトは検討開始当初、立てた仮説であり、今回の実験結果は、そのコンセプトを裏付けるものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
弓き続き、高吸水性と生分解性とが同時に達成可能なセルロース系高吸水性樹脂の分子構造の検討を進める。セルロース骨格と親水性側鎖との間のスペーサー基の最適化を進める。また、製造方法のより容易な手法の探索も進める。特に、水系溶媒中でのセルロース誘導体化について、検討を行う。
|