2010 Fiscal Year Annual Research Report
廃羊毛の化学的処理による再資源化ー銅担持による消臭性能の付与
Project/Area Number |
22500722
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
小原 奈津子 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (90178301)
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Keywords | 羊毛 / 繊維加工 / 環境対応 / 消臭機能 / 酸化 / 銅化合物 / 廃棄物再資源化 |
Research Abstract |
本研究では、メルカプタン化合物に対する高い消臭性を羊毛に付与するために、銅化合物を用いた化学処理法を開発することを目的とした。まず、担持する銅化合物を選ぶために、硫酸銅(II)、塩化銅(II)、酢酸銅(II)を初めとする各種銅化合物のエチルメルカプタンに対する消臭性能を評価したところ、実験に用いたなかでは塩化銅(II)や硫酸銅(II)が高い消臭性を示すことがわかった。 他方、羊毛繊維の銅担持量を多くするために、担持処理の前処理として過ギ酸を用いて羊毛繊維を酸化し、ケラチン中のジスルフィド基の一部をスルフォン酸基に変えた。この酸化羊毛繊維をNaOH水溶液で処理した後、硫酸銅(II)および塩化銅(II)の担持処理を行った。このような処理によって、銅含有量が7~8%の銅担持酸化羊毛を得ることができた。これらの銅担持酸化羊毛の、エチルメルカプタンに対する消臭性能を検知管法で評価した。硫酸銅担持酸化羊毛を0.5g入れた、5Lのテドラーバッグ中にエチルメルカプタン(初期濃度100ppm)を注入した場合、4時間後のエチルメルカプタン濃度は40%、同じく塩化銅担持羊毛の場合は20%減少した。これらの試験では、標準状態(湿度65%R.H.)に調湿した処理羊毛をそれぞれ使用したが、試料重量の100%の水分をこれらの処理羊毛に含有させて同様に試験したところ、共に、4時間後のバッグ中のエチルメルカプタン濃度はほぼ0となった。このことから、水分は銅とエチルメルカプタンとの反応を大きく促進することが明らかとなった。
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