2011 Fiscal Year Annual Research Report
廃羊毛の化学的処理による再資源化-銅担持による消臭性能の付与
Project/Area Number |
22500722
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
小原 奈津子 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (90178301)
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Keywords | 消臭性 / 羊毛 / 再資源化 / 羊毛の金属処理 / 羊毛の酸化 / エタンチオール / 銅化合物 |
Research Abstract |
申請者は、化学的処理によって廃羊毛を機能性材料に変換し、再資源化することを目指している。本研究では、消臭機能の付与を目的として、銅担持による羊毛繊維への消臭性付与を検討した。前年度では、過ギ酸酸化羊毛を水酸化ナトリウムで処理し、銅化合物を担持させることにより、一定の消臭性能を付与することはできた。しかし、この方法では、水酸化ナトリウムを加えることにより酸化羊毛が可溶化するため、再沈して担持処理を行う必要があり、処理羊毛の繊維形状を活かすためには別の方法が望まれた。そこで、過ギ酸酸化羊毛に酢酸銅を用いて処理する方法を試みた。その結果、銅含有率が3.9~4.8%の銅担持酸化羊毛を得ることができた。この銅担持酸化羊毛を湿度65%に調湿し、100ppmのエタンチオール雰囲気での消消臭試験を行ったところ、4時間後も60~73ppmのエタンチオールが残存し消臭性は低かった。しかし、同処理羊毛に試料重量の100%の水分を含水させて同様の試験を行ったところ、2~3時間でエタンチオールは検知されなくなり、高い消臭性が見られた。これにより、消臭機構には水の存在が重要であることが明らかとなった。 また、酢酸銅と同様の方法で、酢酸亜鉛(II)、酢酸マグネシウム(II)、酢酸ニッケル(II)、リン酸マンガン(II)、リン酸二水素リチウム、水酸化リチウム等の各種金属化合物を用いて酸化羊毛を担持処理した。この結果、マグネシウムやリチウム担持羊毛は1%以下の含有率であったが、その他は2~3%の含有率の金属担持羊毛を得た。これらの調湿した金属担持羊毛の消臭性は、銅担持羊毛と同程度もしくはそれより低かった。他方、含水させることにより、銅担持酸化羊毛と同様に消臭性は顕著に向上し、3時間後のエタンチオール(初期濃度100ppm)は22~56%に低下した。今年度の試みた各種金属化合物のなかでは、銅化合物による担持処理が消臭性に最も高い効果を示すことが明らかとなった。
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