2010 Fiscal Year Annual Research Report
弾力性低下を引き起こす紫外線の作用波長の研究と紫外線遮蔽効果の新評価法の開発
Project/Area Number |
22500724
|
Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
前田 憲寿 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (50454137)
|
Keywords | 紫外線障害 / 皮膚障害 / 放射線 / 光老化 / 紫外線遮蔽 |
Research Abstract |
紫外線によるコラーゲン弾力性低下の作用波長の解析とそのメカニズム 【目的】日常的に太陽光線を浴びる顔などでは、紫外線の影響により皮膚が硬くなり、弾力性が低下して、シワができやすくなる。紫外線で引き起こされるコラーゲン弾力性低下の作用波長の解析と弾力性低下のメカニズムについての研究を行った。【方法】バンドパスフィルタを用いて紫外線を10nm間隔でコラーゲンゲルと豚皮に同エネルギー量ずつ照射し、異なる測定機器で硬度・弾力性を測定した。次に、コラーゲンゲルに紫外線を照射したときの酢酸可溶性コラーゲンと酢酸不溶性コラーゲン中のジチロシンをHPLCで測定した。さらに、ヘアレスマウスに長期間紫外線を照射した光老化皮膚においても、同様に測定した。【結果】コラーゲン弾力性低下の作用波長を解析した結果、弾力性低下を引き起こす作用波長は320nm付近の紫外線であり、300nm、350nm以上の紫外線には弾力性低下の作用はほとんどなかった。また、コラーゲンゲルに紫外線を照射すると酢酸不溶性コラーゲンが増加し、不溶性コラーゲンにチロシンの架橋物であるジチロシンが増加していた。ヘアレスマウスに長期間紫外線を照射した光老化皮膚でも、不溶性コラーゲンが増加していた。【考察】コラーゲンは代謝回転が遅いタンパク質なので、長期間の日光曝露によってコラーゲンに障害が蓄積して、弾力性が低下すると考えられる。320nm付近の紫外線によってコラーゲン中にチロシンの架橋物であるジチロシンが形成されることによって、コラーゲンの弾力性が低下し、光老化皮膚に特徴的な弾力性低下が引き起こされると考えられた。
|