2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500728
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
酒井 昇 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (20134009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 美香 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (10240318)
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Keywords | 調理工学 / 魚調理 / 焼き過程 / 可視化 / シミュレーション / タンパク変性 |
Research Abstract |
本年度は、魚調理を対象とし、具体的には焼き魚および煮魚を取り扱い、シェフの厨房での実験とそれ基づいて、調理を定量化するための実験を大学の実験室において行った。 1.シェフの厨房での実験 業務用グリルおよびフライパンで鮭を焼いてもらい、そのときの温度変化および重量変化を測定した。その結果、シェフが目指している最終点は、中心温度が約60℃に到達し、表面に程よく焦げ色がつき、重量変化が15%程度であることが判明した。魚のタンパク変性は、ミオシン、コラーゲン、アクチンの順で変性すると考えられるが、中心温度60℃はアクチンが変性する前であり、適度に変性させることによりジューシーさ(水分損失を15%程度におさえる)を保っていることがわかった。また、表面に焼き色を付けるためには、温度が120℃以上に上昇する必要があり、輻射エネルギーが重要な働きをしていることがわかった。 2.大学実験室における実験および解析 上記調理を実験室で再現し、食材にどのような変化が起こっているかを検討した。魚の示差熱分析を行い、タンパク変性(ミオシン・コラーゲン、アクチン)の変性速度定数を求めた。合わせて、焼成時の色の変化を色彩計を用いて測定した。その結果、魚焼成時の色の変化は、タンパク変性、乾燥、呈色反応、炭化反応に伴い進行し、透き通った白から、白濁、茶褐色、黒色と変化し、彩度が最も大きいときに美味しそうに見えることが判明した。焼成時の色の変化についてモデル化を行い、呈色反応の解析を行ったところ、実測値と良好に一致した。また、タンパク変性および色についての解析結果を可視化ソフトを用いてアニメーション化した。これにより、タンパク変性および呈色過程を可視化することがで、最適な焼き過程を検討することができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた研究成果の一部は、既に学術誌に掲載されている。また、昨年度得られた肉の調理に関する研究成果と本年度の成果は24年秋の国際会議で発表するとともに、国際誌に投稿する予定であり、順調に成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね研究計画どおりに研究が進行しており、24年度は、焼き過程における水分移動の記述と輻射の影響について検討する。また、24年度は本研究課題の最終年度であり、論文発表、国外・国内での学会発表、研究室ホームページを通じて、成果の公表を行っていく。
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Research Products
(5 results)