2011 Fiscal Year Annual Research Report
大麦の細胞壁関連酵素と麦飯物性との関係解明に関する研究
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22500729
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大坪 研一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80353960)
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Keywords | 食品科学 / 物性 / 大麦 / セルラーゼ / キシラナーゼ / PCR / DNA解析 |
Research Abstract |
本研究では、大麦の細胞壁の分解に関係するセルラーゼ、キシラナーゼ、ポリガラクチュロナーゼなどの内在性酵素が大麦の精麦適性や麦飯物性に与える影響について、デンプンやタンパク質などの主要成分による影響と比較しながら明らかにし、試料量の少ない初期選抜に有効なDNAマーカーを開発することを目的とする。すなわち、酵素活性と大麦利用特性(特に麦飯が硬い原因)との関係を解明し、麦飯物性を改良するとともに、酵素のDNAマーカーと多変量解析技術とを開発し、育種初期のような微量試料の場合でも使用可能な品質推定技術を開発することを目的とする。 平成23年度は、初年度に確立した実験方法により、各種の大麦試料について、物性および糊化粘度の測定、PCR法によるDNA解析を行い、両者の比較検討を行った。各種の細胞壁分解連酵素の活性測定を継続すると同時に、キシロシルトランスフェラーゼ等の細胞壁合成酵素の評価についても実験を行い、麦飯調理条件との関係も含めて多面的かつ精密に測定を行った。また、PCR法によるDNA解析についても、米用のプライマーおよび新たに開発した大麦用のプライマーを用いて各種大麦試料のPCRを行い、前述の品質評価結果と関係の深い細胞壁分解酵素を選定した。また、品質特性の異なる各種の大麦試料について、品質と関係の深いプライマーを中心に、PCR法による品種判別方法を開発した。 これらの結果について、論文を取りまとめ、日本農芸化学会英文誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
麦飯の物性測定、糊化粘度測定、細胞壁分解酵素の活性測定、DNAマーカー開発など、概ね予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
各種の大麦試料について、物性及び糊化粘度の測定、PCR法によるDNA解析を行い、両者の比較検討を行う。セルラーゼ、キシラナーゼ、ポリガラクチュロナーゼなどの細胞壁分解酵素の活性測定を継続するとともに、セルロースシンターゼやキシロシルトランスフェラーゼなどの細胞壁合成酵素についても実験を進める。すなわち、初年度に確立した品質評価手法により、外国産も含めた各種の大麦資料の麦飯物性や粉末試料の糊化粘度特性について、麦飯調理条件との関係も含めて多面的かつ精密に測定を行う。米用のプライマーおよび新たに開発した大麦用のセルラーゼ、キシラナーゼなどの新規プライマーを用いて各種大麦試料DNAのPCRを行い、品質評価結果と関係の深い細胞壁分解酵素を選定する。さらに、キシロシルトランスフェラーゼなどの細胞壁合成酵素についても、酵素活性の測定に加えて、新たにPCR用プライマーの設計を行い、麦飯品質との関係について検討を加える。
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