2011 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下障害者の水分補給のための適切な粘度に関する研究
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22500734
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
栢下 淳 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (40312178)
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Keywords | 嚥下 / 水分補給 / 粘度 / とろみ |
Research Abstract |
高齢化社会の進展と共に、嚥下機能の低下した者は増加している。嚥下機能が低下すると、食べるものだけでなく、飲むことのできるものも制限されるため、脱水に陥りやすい。このため、十分に水分を補給することが重要となるが、嚥下反射遅延の見られる患者では、水のようなさらさらした液体で、誤嚥を起こす可能性がある。そのため、とろみ調整食品によりとろみをつけて提供することがある。しかし、現在日本にはとろみの物性測定方法に基準がなく、統一がなされていない。本研究では、とろみの測定方法の確立を目的とし、適切な評価方法について検討する。 平成22年度は、スピンドル型回転粘度計を使用し、市販とろみ調整食品を水に溶かした溶液の物性の特徴を把握することを目的とし、研究を進めた。その結果、原材料の違いにより、粘度発現の程度に違いがみられることがわかった。また、高齢者にとって飲み込みやすいとろみの濃度の検証を既に行っているため、それらの粘度範囲を知ることができた。 平成23年度は、さらに広範囲のずり速度で粘度測定が可能なコーンプレート型回転粘度計を用い、得られるデータがスピンドル型回転粘度計と違いが見られるのか、とろみの物性測定にはどちらの粘度計で測定するのが適切であるのか等の測定方法に関する検証を行った。その結果、コーンプレート型回転粘度計とスピンドル型回転粘度計では、同じずり速度であれば同等の値が得られることがわかった。スピンドル型回転粘度計を簡易的な粘度測定に使用可能であることはわかったが、それぞれの粘度計は測定可能なずり速度の範囲が異なるため、どの程度のずり速度で測定を行うべきかを評価する必要がある。平成24年度は、これを評価するための官能評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度行う予定であった官能評価の試料の決定まで既に完了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
粘度は測定するずり速度によって異なる値が得られることから、粘度測定条件を決定する必要がある。今後は、官能評価を行い、ヒトの粘度感覚を最も反映する粘度測定条件を決定する。
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