2010 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下流動分布の解析と誤嚥防止のための食品の力学特性の解明
Project/Area Number |
22500739
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
森高 初恵 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (40220074)
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Keywords | 食塊 / 老化 / 嚥下 / 咀嚼 / テクスチャー特性 / 官能評価 / 食片サイズ |
Research Abstract |
食塊はずり速度が変化すると、テクスチャーモディファイアーの種類や濃度によって力学特性が大きく変化する。この変化は主に被験食を構成する食材の構造、形状や大きさによって異なる。本年度は分子構造の異なる3種類のテクスチャーモディファイアーである馬鈴薯澱粉、グアーガム、キサンタンガムおよび水に分散質として魚肉ソーセージを分散したモデル食を被験食として、食片サイズの数値的解析による咀嚼特性、咀嚼した食塊のテクスチャー特性、咀嚼・嚥下時の感覚特性および咽頭部の食塊の流速について検討した。澱粉および水添加試料では、咀嚼による固形物の破壊過程は対数正規分布関数で説明することが可能であり、咀嚼による破壊は過去の破壊履歴の影響を強く受けていると考えられた。一方、魚肉ソーセージ100%、グアーガムおよびキサンタンガム添加試料では、咀嚼後の食塊の小さい食片サイズにおいては対数正規分布関数に適合し、大きい食片サイズにおいては伸長型指数分布関数に適合し、これらの被験食では対数正規分布関数と伸長型指数分布関数による2層性の分布関数で説明された。また、食片のサイズに対する食片数の分布においては、すべての分散媒で50%および75%分散媒添加試料のほうが25%分散媒添加試料よりも小さいサイズのほうに食片が数多く分布し、50%および75%分散媒添加のほうが咀嚼による破壊の程度は高かった。しかし、固形物の噛みやすさ、細かく咀嚼できたか等の官能評価項目においては、25%分散媒添加試料のほうが75%添加試料よりも噛みやすく、細かく咀嚼できたと評価され、官能評価の結果と食片サイズの結果では異なった。咀嚼した食塊のテクスチャー特性および咽頭部の食塊の流速は、食片サイズよりも分散媒による影響が強く認められた。
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