2012 Fiscal Year Annual Research Report
加熱・高圧・乾燥処理による野菜・果実の物性変化とペクチン質の関係
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22500746
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
渕上 倫子 福山大学, 生命工学部, 教授 (60079241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑田 寛子 福山大学, 生命工学部, 助手 (20509252)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ペクチン / テクスチャー / 加熱処理 / 高圧力処理 / 電子顕微鏡 / リンゴ / イチゴ / 日向夏 |
Research Abstract |
I.加熱処理による野菜・果実の物性変化とペクチン質の関係 ①生カリンの果肉は石細胞や食物繊維を多く含むため、非常に硬いが、15分煮熟すると中層のペクチン質が溶出し細胞壁が離解し、軟化した。カリンのペクチンのエステル化度は非常に高く、高メトキシルペクチンがβ脱離により分解して煮汁中に溶出したため、軟化したと考えられる。②ジャガイモを脱イオン水、カルシウム濃度の異なる水道水で煮熟、または20℃、30℃、60℃で浸漬後煮熟したときの物性測定と組織観察を行い、硬化の原因がカルシウムであることを明らかにした。 II 高圧処理による果実の物性変化とペクチン質の関係 ①イチゴ、リンゴを高圧処理するとなぜ軟化するかについて検討した。イチゴは低分子量の水可溶性ペクチンが非常に多かった。また、高圧・加熱処理により高メトキシルペクチンが減少し、組織が著しく軟化した。リンゴはイチゴより水可溶性ペクチンが少なく、低エステル化度のペクチンが多いため、高圧・加熱処理により軟化しにくかった。リンゴのpHが4付近のため、ペクチンがβ脱離でなく加水分解し、軟化することを明らかにした。②柑橘類からフレッシュな香りの高圧マーマレードを作る方法を検討した。日向夏の外果皮をスライスし、中果皮・内果皮・果肉は磨砕しpH2.7のクエン酸溶液に24時間浸漬した。これに最終糖度50%となるように蔗糖添加し、500MPaで30分間高圧力処理、または100℃で10分間加熱処理してマーマレードを作製した。果皮をクエン酸に浸漬すると軟化が促進し、細胞壁にゆるみが生じた。マーマレードの粘弾性は処理方法により大差なかった。ナリンギン量は他のザボン類と比較して少なかった。高圧力処理したほうが加熱処理したものよりゼリー部分のナリンギン量が少なかった。官能評価において、総合評価は高圧力処理の方が高かった。グレープフルーツ、ブンタンについても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
I.加熱処理による野菜・果実の物性変化とペクチン質の関係 ①生カリンは非常に硬い。なぜ煮熟により軟化するかについての前年度より引き続き行った実験はほぼ終った。平成24年度に学術論文として投稿する予定であったが、計画通り実施できなかった。平成25年度に投稿する予定である。②ジャガイモについての実験も終わったため、平成25年度に投稿する予定である。 II 高圧処理による果実の物性変化とペクチン質の関係 ①イチゴ、リンゴなどを高圧処理するとなぜ軟化するかについての昨年度より引き続いた実験もほぼ終わり、平成24年度中に学術論文とする予定であったが、投稿まで至らなかった。平成25年度に投稿する予定である。②各種柑橘類からフレッシュな香りの高圧マーマレードを作る方法の確立については、日向夏についての論文を作成中である。 III 乾燥による物性と組織の変化 ①ジャガイモの凍結乾燥品のモラヤの煮熟軟化と組織変化については、引き続き平成25年度に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、今までに行ってきた研究をすべて論文化する予定である。 山クラゲ(乾燥ステムレタス)はなぜ歯触りがよいかに関する研究を本年度に行い、本年度中に学術論文として投稿する予定である。
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Research Products
(10 results)