2012 Fiscal Year Annual Research Report
乳タンパク質の自己会合及びゲル形成機構解明への高感度超音波分光分析の活用
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22500747
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
太田 尚子 日本大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00203795)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | タンパク質ゲル / カゼインミセル / 脂肪酸塩 / 相転移 / 乳ホエータンパク質 |
Research Abstract |
平成22年度及び平成23年度の研究に引き続き、最終年度である平成24年度は、シャペロン活性の高いα-カゼイン混合卵白アルブミン(OVA)のゲル化に及ぼすカプリン酸ナトリウム添加の影響を主として超音波分光分析及びFT-IRを用いて調べ、単独では加熱により相転移しないと考えられるカゼイン画分のOVAの相転移に及ぼす影響について、超音波分光分析法でどこまで判るかを詳細に考察した。その結果、脂肪酸塩非存在下ではその昇温過程においてOVA単独の超音波減衰開始温度は66度、α-カゼイン共存下のOVAは71度であった。この事から、α-カゼインはOVAの加熱による相転移を抑制していることがわかった。更にこの混合タンパク質系に2%カプリン酸ナトリウムを添加すると69度に屈曲点が現れ、この事から脂肪酸塩は混合タンパク質系の相転移を僅かながら促進していることが示唆された。次に、降温過程ではOVA単独で65度、混合タンパク質系で34度、脂肪酸塩添加混合タンパク質系では51度で超音波減衰プロファイルにそれぞれの屈曲点が観察され、それ以降再び超音波減衰の増加が生じた。降温過程での超音波減衰の増加は加熱変性ならびに疎水性相互作用により凝集したタンパク質分子間に、更に水素結合が形成され、ゲルネットワーク形成が完了していく事を示唆するものであり、本実験を通して水素結合が構築されていく温度に違いがあることがわかった。また、超音波分光分析の先行研究では主に温度上昇期の超音波特性の変化を調べた研究が多いが、この3年間の研究を通して、冷却過程でも有用な情報を得ることが可能である事が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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