2010 Fiscal Year Annual Research Report
煮物における煮汁の温度・濃度分布特性とマルチスケール熱流体流動モデルによる解析
Project/Area Number |
22500749
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Research Institution | Kobe Yamate College |
Principal Investigator |
原 知子 神戸山手短期大学, 生活学科, 准教授 (40192281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉永 隆夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (40158481)
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Keywords | 煮る / 調理 / 対流 / 多孔質 / 熱伝導 |
Research Abstract |
「煮る」調理では煮汁の熱対流により食材を比較的緩やかかつ長時間にわたり加熱する.熱対流に及ぼす食材の影響や,食材内部の温度や濃度の変化に及ぼす熱対流の効果などの煮汁-食材間の相互作用を把握することで,より精密な加熱プロセスの予測やきめ細かい加熱温度制御などが可能になるばかりではなく,新たな加熱方法やプロセスの開発にも貢献すると考えられる.そこで本研究では,食材間での煮汁と個々の食材内部での煮汁の熱流動運動を調べるため,二種類の変動スケール(マルチスケール)を持つポーラスメディア中での熱流体流動モデルを提案する。そして、このモデルを解析することにより煮物における煮汁や食材の温度・濃度分布特性を明らかにする。本年度は具材として馬鈴薯を用いた加熱実験とその解析により以下のことが明らかになった:(1)鍋容器内の水と馬鈴薯の加熱において,個々の馬鈴薯の大きさが大きくなると,同じ火力でも煮汁の熱伝達が伝熱から対流に変化する.(2)ポーラスメディアによるモデル解析では,このような熱伝達の変化が異なる浸透率に対して説明できる.(3)加熱過程において馬鈴薯の中心部温度と表面温度は熱伝導を仮定することにより説明できる.一方,以下のような問題点があることが明らかになった:(4)熱源に用いたIH調理器では,加熱面がリング状に高温になるため,鍋容器底面での温度に偏りがある,(5)加熱による煮汁の蒸発のため,液面が低下する.(6)モデル解析による臨界Rayleigh数が実験結果と大きくかけ離れている.さらに,以下の点について今後明らかにする必要がある:(7)比較的強い加熱に対して,対流現象は乱流城で現れている可能性があり,その現象に対するモデルの構築.(8)煮汁や具材内での塩分濃度の変化が温度変化に比べて十分小さくなっていることの確認と解析におけるマルチスケールの設定.
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