2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳血流動態にもとづく大脳表層からの食品の嗜好性・感性情報の直接抽出
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22500751
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Research Institution | 秋田県総合食品研究センター |
Principal Investigator |
熊谷 昌則 秋田県総合食品研究センター, 食品加工研究所, 主任研究員 (90425471)
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Keywords | 神経科学 / 脳血流変化 / 食品 / 嗜好 |
Research Abstract |
食品の開発では、安全性や経済性などといった物質的因子に加え、おいしさや満足感などといった心理的因子が重視される。心理的因子の評価法としては、アンケート調査法や官能検査法などによる質問紙法によって、形容詞や形容動詞で表現される明示的評価が一般的である。しかしながら、明示的評価法は、客観性、再現性、信頼性などに欠ける場合があり、代替法、すなわち、非明示的評価法の開発が求められている。 そこで本研究では、食品のおいしさに係わる嗜好、感性情報を脳から直接読み取れるかどうかを検討することを目的として、今年度は、近赤外分光法式を用いた脳血流測定装置光トポグラフィーを用いて、様々な食品画像を視覚刺激として被験者に呈示し、おいしそう、あるいは好ましいと感じる時、大脳表層、とくに前頭前野における脳血流動態はどのように変化するのか調べた。その結果、外観刺激に対する嗜好の違いが前頭前野表層の脳血流変化量に影響を及ぼすことが示唆された。すなわち、おいしそうと思って画像を見ているときと、そうでないときでは、脳血流の変化量に違いがありそうである。したがって、被験者の嗜好判断を光トポグラフィーで非明示的に予測できる可能性がある。しかしながら脳血流変化量の増減については個人差があり、現段階では、普遍的な法則性を見いだすには至らなかった。引き続き、食品の視覚刺激に伴う脳血流動態の関係を調べる予定である。
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