2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳血流動態にもとづく大脳表層からの食品の嗜好性・感性情報の直接抽出
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22500751
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Research Institution | 秋田県総合食品研究センター |
Principal Investigator |
熊谷 昌則 秋田県総合食品研究センター, 食品加工研究所, 上席研究員 (90425471)
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Keywords | 神経科学 / 脳血流変化 / 食品 / 嗜好 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ある食品を見て、その外観からおいしそうかどうか、食べたいかどうか、などといった嗜好性や感性情報を、口頭などで意思表示させることなく、NIRS(Near Infra-Red Spectroscopy)で測定した脳血流変化を指標として脳から直接、読み取れないかどうかを検証することである。 本年度は、昨年度に引き続き、様々な食品画像を視覚刺激として与え、その画像評価時の前頭前野における局所脳血流変化量から、被験者の嗜好や感性情報を非明示的に、脳から直接、読み取れないかどうか検討した。 その結果、嗜好選択された画像を見ているときのタスク中と、そうではない画像を見ているときのタスク中の、それぞれの被験者の前頭部に配置した左右12chの計24chのOxy-Hb変化量に違いがあるかどうかをそれぞれのch毎にt検定で評価したところ、被験者8名のうち6名については、危険率5%で有意差の認められるchが存在した。また、24ch全てのZ-scoreを用いて判別分析を適用したところ、判別モデル構築時には全被験者平均で98.1%の正答率で嗜好選択を正しく判別できることがわかった。しかしながら、クロスバリデーション正答率の全被験者平均は、45.6%となった。最も正答率が高い被験者であっても66.7%にとどまった。このように、食品の外観評価時における被験者の嗜好選択の違いが前頭前野両側部表層の脳血流量に何らかの影響を及ぼしていることが示唆されたが、その応答には個人差があり、異なる被験者間でも普遍的な性質を見いだすにはいたらなかった。しかしながら、同一の被験者内で構築された判別モデルを使えば、その被験者個人がどう感じているかどうかを予測できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被験者の嗜好や感性情報を非明示的に、脳から直接、読み取れないかどうかNIRSで検討しているが、その可能性を示唆するデータが得られている。ただし、信頼性、再現性についての課題があり、さらなる検証が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる今年度は、引き続き、画像刺激に対する被験者の嗜好や感性情報を、脳血流動態の変化としてとらえることができないか検証する。今後は予測精度の向上が求められる。
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