2011 Fiscal Year Annual Research Report
寝たきり高齢者における体脂肪率別の供給エネルギー量設定スケールの作成とその活用法
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22500756
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
三原 法子 山形大学, 地域教育文化学部, 講師 (80533687)
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Keywords | 75歳以上の寝たきり高齢者 / 安静時代謝量 / 新REE算出式 / 除脂肪体重量 |
Research Abstract |
現在、多くの病院・施設でHarris-Benedict式(以下HB式と略)が供給エネルギー量算出に用いられている。しかし、これは欧米人を対象とした90年前の算出式である。そのため、特に75歳以上の寝たきり高齢者においては過剰評価となることが明らかになっている。これまでの研究では、75歳以上の寝たきり高齢者を対象とした場合、HB式による推定安静時代謝量(以下推定REEと略)は間接熱量計で計測した安静時代謝量(以下実測REEと略)に比べ24.4%有意に高い値を示すこと、及び、実測REEはON(経口栄養法)からPEG(胃痩造設施術)へ移行することで、16.6%有意に低い値を示すことが明らかとなった。これらのことから、日本人、特に寝たきり高齢者に適した供給エネルギー量算出法の確立が必要と考えられた。次いで、REEの指標となる因子を分析した結果、ONは体重・BMI・%AMC・%TSFの4つ、PEGは体重・%TSFの2つにおいて相関が認められた。これらの因子をもとに日本人に適した新REE算出式を導き出した。 ON : REE(kcaL/kg)=34.811-{0.137×現体重(kg)}-(0.127×BMI)-(0.084×%AMC)-(0.016×%TSF) PEG : REE(kcaL/kg)=27.347-{0.244×現体重(kg)}-(0.016×%TSF) 上記の提案式が臨床現場で活用できるかどうかの先行検証を行った。対象は、寝たきり高齢者16名(86.0士2.7歳)、うちON5名(90.0±2.7歳)、PEG11名(84.6±2.8歳)であった。測定期間は2011年6月~2011年11月の45ヵ月間であった。新REE算出式の導入前後を比較すると、体重、BMI、%AMC、%TSFは維持されており、血液生化学検査値も導入前に比べて変化は認められず、正常域で維持されていた。その結果、導入前に比較して導入後、ON群の80%、PEG群の100%の体重維持が図られていた。以上より、新REE算出式は75歳以上の寝たきり高齢者の体重維持を図ることを目的に、臨床現場での活用が有用であると考えられた。現在、ダイレクトに供給エネルギー量を算出する式を考案し、協力施設・病院での検証を行う予定である。また、その結果より、BMIごと、病態ごとのツールを作成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度時に東北大震災後、半年間は、協力病院・施設では、患者・入所者を安全に治療・生活させることを第一としていたため、研究協力を得ることができなかった。そのため、不足データの収集がとれなかった。しかし、今まで6年間のデータより、75歳以上の寝たきり高齢者の新REE計算式の提案することができた。そして、提案のREE計算式が多くの病院・施設で活用できるように新REEIII計算式の補正を検討した。また、1協力病院のみ新REEから計算式の先行検証を4.5か月行い、体重維持が図れるデータを出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新REE計算式の補正をするための追加データが必要となるために、協力病院・施設において、条件をそろえたメタパインの測定を遂行する必要がある。同時に、新REE算出式の検証のため、提案式から導き出したエネルギー量を導入を3~4,5か月行い、体重維持がはかれるかどうかを検討する。その際、栄養に関連する血液検査値を採血し、状態が安定しているかどうかの裏づけを行う。その結果より、BMI別、疾病別の新REE算出式を導き出し、ツール作成をする。
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Research Products
(5 results)