2010 Fiscal Year Annual Research Report
βーカロテンの経口摂取によるウイルス感染症対策を志向する基礎研究
Project/Area Number |
22500761
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山西 倫太郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30253206)
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Keywords | 食品 / 適応免疫 / β-カロテン / グルタチオン / 抗原提示細胞 |
Research Abstract |
マウスに高ビタミンEとともにβ-カロテン(50mg/100g餌)を摂取させた場合には、抗原投与により誘導されるIgE抗体の産生が低下し、脾細胞のグルタチオン(GSH)量を増加させ、さらに、1型ヘルパーT細胞(Th1)活性を亢進させる。本研究では、β-カロテンが免疫システムの中の抗原呈示機能に影響を及ぼした結果としてTh1亢進(:Th2掬制)に寄与するのではないかとの仮説を立て、それを検証するための実験を企画した。本年度はまず、β-カロテン添加食(100mg/100g餌)またはコントロール食を摂取したマウスから抗原呈示細胞を採取し、オボアルブミン(OVA)とOVA特異的な応答をするマウスから採取したTh細胞を用いた抗原呈示実験を行った。その結果、予想とは逆に、抗原刺激によってTh1から分泌されるサイトカインIFN-分泌量はβ-カロテン添加食マウス由来抗原呈示細胞を用いた場合に低くなった。また、β-カロテン摂取が、免疫される抗原に対する抗体産生系の感受性を向上させるかを検討した別の実験においても、β-カロテン摂取は抗原への感受性を鈍らせるという予想を裏切る結果となった。これらの結果について、種々の原因検討を行ったところ、β-カロテンを50mg/100g餌まで添加した場合には、脾細胞に含まれるGSH量が増加するにもかかわらず、100mg/100g餌添加した場合には、減少に転ずることが明らかとなった。即ち、餌に添加するβ-カロテンの量を、過去の実験より増量したことが原因である可能性が浮上した。我々の本年度の研究結果は、研究意図からは外れるものの、過剰症が知られていないβ-カロテンについて新たな知見を得るという重大な結果となった。ただし、この過剰症についての研究は別のものとし、次年度は、β-カロテンの摂取量を減らして、従来の研究目的を遂げるための実験を実行したいと考えている。
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