2010 Fiscal Year Annual Research Report
フルクトース誘発高血圧における腸管でのクロライド吸収の役割の解明
Project/Area Number |
22500764
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
林 久由 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 講師 (40238118)
|
Keywords | 栄養学 / 食品 / 高血圧 / 生理学 |
Research Abstract |
近年食品からのフルクトース摂取が増加しており、それらとメタボリックシンドロームの罹患率との間に正の相関関係があることが示唆されている。ラットを用いた実験では、フルクトース摂取により急性の血圧上昇が惹起されることが示されおり、この機序の一つとしては、消化管からの液吸収の増加が関与することが考えられている。そのため本研究では、フルクトース摂取により腸管での電解質吸収・分泌がどのように変化するかを検討した。ラットを、3日間代謝ケージ飼育し、その後グルコース食とフルクトース食の2群にわけ3日間した。最終日には腸管各部位での電解質、糖質の吸収速度を求めるために、餌に非吸収性マーカーであるポリエチレングリコール(PEG)を加えた。解剖後、腸管内容物を採取し、腸管内容物のPEG、電解質、グルコース、フルクトース濃度を測定した。グルコース食群とフルクトース食群ではNa^+, K^+, Cl^-の電解質出納には差は観察されなかった。また血液性状も両群間で顕著な差はなかった。腸管各部位での吸収速度を比較すると、グルコースは上部空腸でほとんど吸収されていた。しかしフルクトースは上部空腸での吸収に加え回腸でも吸収がみられた。Na^+の吸収・分泌速度を比較すると、グルコース食群では十二指腸では大きなNa^+分泌がみられ、空腸中部では大きなNa^+吸収が観察された。フルクトース食群ではNa^+の吸収・分泌速度は何れの部位でもグルコース食群より小さかった。K^+, Cl^-の吸収・分泌速度は、Na^+とほぼ同様の傾向を示した。グルコース、フルクトース吸収に伴う腸管での電解質吸収・分泌は異なることが示唆されたが、フルクトース吸収に伴う液吸収の亢進は観察されなかった。
|