2010 Fiscal Year Annual Research Report
初老ならびに高齢者における味覚・嗅覚感受性の疫学的実態調査研究
Project/Area Number |
22500779
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Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
片山 直美 名古屋女子大学, 家政学部, 准教授 (90387663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 誠一 藤田保健衛生大学, 坂文種報徳会病院, 准教授 (10324435)
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Keywords | 味覚 / 嗅覚 / 大規模コホート研究 / 住民検診 / 八雲スタディ / 認知能力 / 検知能力 / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究は文部科学省特定領域研究:大規模コホート研究グループの中に属し、北海道八雲町保健所、名古屋大学大学院医学系研究科予防医学教室ならびに、他の10グループとの共同で行う住民検診である。この住民検診研究はすでに28年間の歴史があり、片山は2005年から参加している。「においと味」は密接に関係し、相互作用があり、様々な経験を伴って記憶され、認識される。においと味は別々の受容体・神経経路で処理され、扁桃体・前頭葉などの一部の脳領域で収束されることが分かってきている。年齢と共に衰える場合もあるが、においや味の検知・認知が出来なくなる事は生活の質低下だけではなく、脳梗塞や亜鉛欠乏、鼻内のポリープなど様々な病気の末梢症状であることから、各種病気の早期発見ならびに早期治療に役立つ指標となる。また、壮年以上のボケ防止のためにも「においと味」の結果と認知能力などの相互関係を明らかにする研究は重要であり、八雲町住民検診のような大規模コホート研究は超高齢社会をむかえた日本における壮年ならびに高齢者の生活の質向上に貢献する研究である。 八雲町住民検診29回目にあたる今年度2010年は、8月27,28,29日に町民検診が行われ、約500名の耳鼻科受診者が訪れた。同時に片山以下4名によって「においと味」の検査を行うことができた。今年度の結果は、男性181名、女性249名が受診し、12種類のにおいの内、男性は平均6.0±SD3.0の正解、女性は平均6.9±SD2.8の正解であった。味は男性が甘味15.3%、塩味12.7%、酸味20.6%、苦味22.1%、女性が甘味10.5%、塩味7.8%、酸味20.7%、苦味11.8%の住民がそれぞれの味覚に対して認知能力が衰えていた。この結果は、9月に行われた住民検診結果報告会において、八雲町住民の方々に対して、名古屋大学大学院医学系研究科予防医学教室・浜島教授によって説明がなされ、受診者各個人に対して八雲町保健所から検診結果評価票が渡されている。今後、この結果を耳鼻科ならびに栄養学分野の学会で発表ならびに論文として報告する予定である。また、2011年8月には再び、八雲町町民検診に参加し「においと味」の検査を行う予定である。
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Research Products
(2 results)