2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス大腸炎および発がんモデルに対する低用量アロエエモジンの修飾作用
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22500780
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
新保 寛 藤田保健衛生大学, 藤田記念七栗研究所, 教授 (10142580)
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Keywords | アロエエモジン / デキストラン硫酸ナトリウム / 潰瘍性大腸炎 |
Research Abstract |
本邦で健康食品として広く普及しているキダチアロエ(Aloe arborescens Miller var. natalensis Berger)を摂食すると、大腸で微量のアロエエモジン(AE)が産生される可能性がある。このAEは生理活性が強くin vitroでは抗がん作用などが多数報告されているとともに、2009年には低濃度で抗炎症作用があることも報告された。しかし、in vivo実験の報告はほとんど見られず、その一因としてAE試薬は少量単位でしか市販されていないため、in vivo実験を設定できない可能性がある。そこで本年度はまずin vivo実験が可能となるようにAEの精製に取り組み、そしてAEが産生される可能性がある大腸での抗炎症作用の検討として、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発マウス潰瘍性大腸炎モデルを用いAE混餌投与による実験を行った。まず第1実験として、雄性C57BL/6マウスに基礎飼料に精製したAEを5および2.5ppmの割合で混合した混餌(AE群)を与え、14日後より飲水として2%DSS溶液を投与した。そして、DSS投与7日後に全てのマウスを解剖し、このモデルの特徴である大腸長の測定を行った。第2実験として同マウスに2%DSS溶液を投与すると同時に、AE濃度を高くした0.02%混餌を与える(12日間)誘発時期での検討を行った。第3実験として、同マウスに2%DSS溶液を7日間投与後に飲水を水とし飼料に0.02%AE混餌を与える回復効果の検討として、DSS投与後の体重減少回復への修飾作用を観察した。いずれの実験においてもAEによる抑制効果はみられなかった。しかし、AE作用として上述の作用とは別に懸念されている細胞増殖作用による大腸炎促進はいずれの実験でもみられなかった。現在、AE濃度、投与方法(経口投与)、DSS感受性の点からマウス系統を変更する等の検討を行っている。
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