2010 Fiscal Year Annual Research Report
食事形態の変化がもたらす要介護高齢者の健康障害ならびに主介護者の介護負担
Project/Area Number |
22500781
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
榎 裕美 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 准教授 (90524497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛谷 雅文 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10283441)
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Keywords | 低栄養 / 要介護高齢者 / 食事形態 / 介護負担感 / 主介護者 |
Research Abstract |
本研究の目的は、在宅の要介護高齢者に対し、Mini-Nutritional Assessment short form(MNA-SF)を用いて低栄養のスクリーニング評価を実施し、横断的調査により、(1)要介護者の食事形態(普通食・粥食・経管栄養)の別と栄養状態との関連、(2)要介護者の食事形態と主介護者の介護負担感・抑うつとの関連について明らかにすること、さらに2年間の縦断的調査により、(3)要介護者の食事形態の低下による体重減少とADL悪化、入院、死亡のリスクとの関連について、(4)要介護者の食事形態の低下による体重減少と主介護者の介護負担感・うつとの関連について明らかにすることの4つである。横断的調査である(1)・(2)については、平成22年度の研究において次のような結論を見出した。 ・MNA-SFによるスクリーニングの結果、普通食では11.3%に、粥食では35.1%に、経管栄養では54.5%にMNA-SF得点が7≧の「栄養不良」者が認められた。また、これらの3群のMNA-SFのスコアは、年齢、性別、基本的ADLを調整した共分散分析較の結果、普通食vs粥食(p<0.001)、普通食vs経管栄養(p<0.001)に有意な差が認められた。在宅で療養している要介護高齢者においては、食事形態が普通食から粥食などに低下してくることにより、エネルギー、たんぱく質の不足から低栄養を招いている可能性が示唆された。 ・普通食、特別食(普通食以外の食事)、経管栄養の3群のJ-ZBI得点(mean±SE)は、要介護者の性とCPS得点を共変量とした共分散分析において、普通食32.1±0.8点、特別食30.1±1.9点、経管栄養18.0±1.9点であり、多重比較の結果、普通食vs経管栄養(p=0.001)、特別食vs経管栄養(p=0.013)に有意な差が認められた。従って、経口摂取をしている要介護者の主介護者の介護負担は、胃瘻を造設するなど経管栄養を行っている要介護者の主介護者に比較し、著しく重いという結論を示した。
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