2010 Fiscal Year Annual Research Report
食教育と食物アレルギー児の健康と食生活の質の向上に役立つ食品の低アレルゲン化
Project/Area Number |
22500785
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
伊藤 節子 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (50144358)
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Keywords | 食物アレルギー / 低アレルゲン化 / 抗原量 / 食事指導 / 卵 / 小麦 |
Research Abstract |
食物アレルギー児の治療として食事指導を行う上で問題になるのは、わずか100μgの抗原量を摂取するだけで即時型反応を起こす例があることである。このような重症例に負荷試験や食事指導を行うときには固ゆで卵は調理法は統一できるが抗原性が高く用いることはできない。そこで卵を含む食品でありながら、患者の保護者に作り方を説明するだけで再現性がよく、しかも低アレルゲン化された卵含有食品のレシピの開発を行うことと、臨床応用を行うことを目指した。 レシピを提示した場合にはオーブン料理は同じ温度設定でもオーブンによるばらつきがあり、フライパンで焼く料理法も火力の調整が難しく抗原性にばらつきを生じた。煮込み料理は卵白アルブミン似下OVA)の抗原性の低下が著明であり、煮込み時間を長くすることによりオボムコイド(以下OM)も低下させることができた。圧力鍋を用いるとさらに抗原性の低下が図れた。 抗原性の低下の再現性が高い調理法として長時間蒸し器を使用したレシピを検討した。牛乳、小麦を使用せずに卵の主要抗原であるOVAとOMを同等に低アレルゲン化させるために米粉と砂糖、卵を原材料とした蒸しケーキを作製した。60分間蒸すことにより、全卵1/3個入り蒸しケーキ30g中のOVA、OMともに100μg以下にすることができた。レシピを提示して患者保護者が作った時にも再現性がよく、味の点でも問題がなかった。最重症の卵アレルギー児が最初に摂取する卵含有食品として利用し、耐性獲得に向けた食事指導を行い、成果をあげている。 次に小麦についての検討も開始したが、加熱のみではどの調理法を用いても十分な抗原性の低下が得られなかった。そこで果物中のプロテアーゼを利用して小麦タンパク質の低分子化を試みた。パイナップルとキウイフルーツによる低アレルゲン化を検討中である。
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