2010 Fiscal Year Annual Research Report
母子栄養環境の客観的評価法の開発と食育による生活習慣病の萌芽期予防に関する研究
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22500787
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
森 真理 武庫川女子大学, 国際健康開発研究所, 講師 (70399343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家森 幸男 武庫川女子大学, 国際健康開発研究所, 教授 (80025600)
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Keywords | 母子栄養環境 / 脂肪酸 / 出生時体重 / 胎盤サンプル / 胎児期の栄養状態 / トランス脂肪酸 |
Research Abstract |
初年度は、産婦人科で出産される母親に同意を頂き、出産時の胎盤サンプルおよび、出産前の母体血を採取し、出産後に妊娠中の食事調査などのアンケートに協力を頂き、特に脂肪酸に着目し、胎盤サンプルや母体血の脂肪酸分析結果と妊娠中の食事との関連について検討を行った。脂肪酸は特に食事の影響が考えられる飽和脂肪酸(S)多価不飽和脂肪酸(P)を中心にS/P比、n-3/n-6比、EPA/S比、DHA/S比、アラキドン酸/S比など比率で評価し、トランス脂肪酸については検出割合について評価した。 9月からサンプル回収を行い、協力の得られた100名のうち、全てのデータが揃った98名(31.9±4.4歳)の内訳は、10代1名、20代27名、30代65名、40歳5名であった。出生時体重の平均は3092±392gで、低出生体重児(2500g未満)は5名、2500-3000gは33名、3000-3500gは50名、3500g以上は10名であった。出生時体重や母親の年齢によるグループ分けを行い、血液データとの関係を解析したが、それらとの関係では顕著な差は認められなかった。つわりは98名中85名で起っており、つわりがあった群は有意(p<0.01)に出生時体重が低値を示した。 次に、母体血および臍帯サンプルの脂肪酸分析では、トランス脂肪酸が検出出来たのは98名中1名の母体血のみであった。簡易食事評価得点で脂肪酸との相関関係では、妊娠安定期、後期で血中のn-6/Sと有意(p<0.05)の負の相関を認め、胎盤のEPA/Sで妊娠初期、安定期、後期で有意(p<0.05)の正相関を認めた。その他、つわりを強度で評価した数値との関係では、血中、胎盤サンプルのDHA/S比と有意(p<0.05)の負の相関を認めた。 以上のことから、胎盤サンプルの脂肪酸が妊娠時の食習慣や状況と少なからず関係があることが示唆された。引き続き、様々な状況下におけるサンプル回収を行い、胎児期の栄養状態(特に脂肪酸)が出生後の児に及ぼす影響について確認できればと期待している。
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Research Products
(5 results)