2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規開発「低エネルギーかさ高食」と味覚物質の便秘、肥満、糖尿病への治療応用
Project/Area Number |
22500792
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
森山 耕成 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (10265275)
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Keywords | エネルギー制限食 / 糖尿病 / 肥満 / 便秘 / 味覚 / 受容体 / 献立 |
Research Abstract |
肥満や糖尿病などでは病院のエネルギー制限食を基本として栄養指導されることが多く、長期的な療養生活の重要な指導媒体となる。 今年度は昨年の1400および1600kcalの献立集に続き、市販の「1200kcalの肥満治療食」献立集4冊を検証した。いずれもビタミン、ミネラルの量は記載されていなかった。算出エネルギー量の平均値は記載値よりも43~130kcal多く、エネルギー密度は0.66~0.81kcal/gであった。三大栄養素量は概ね肥満治療ガイドラインに合致していた。食事摂取基準と比較すると、飽和脂肪酸や食塩相当量が上限値を超え、n-3系不飽和脂肪酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維が基準を満たさない献立集があった。しかし、いずれの値も国民健康・栄養調査結果に近い値であった。すなわち、献立集は低エネルギーでありながら可食重量は常食に近く、栄養成分の記載を充実すると患者の従来の食事と組み合わせた効果的な活用が期待できる。 また、福岡県内7病院において糖尿病食として提供された1600kcalと1400kcalのエネルギー制限食を検討した。21日間のエネルギー量の平均は、1400kcal食で1,426~1,504kcal、1600kcal食で1,577~1,663kcalであった。 いずれの病院もマグネシウム、亜鉛、ビタミンB_6が推奨量に、マンガンが目安量に、食物繊維とn-3系不飽和脂肪酸が目標量に達していなかった。一部の病院は、レチノール等量、ビタミンB_1、B_2、C、D、E、カリウム、カルシウムが推奨量や目標量に達していなかった。飽和脂肪酸が上限値を超え食塩相当量が目標量を上回る病院もあった。したがって、エネルギー制限食は病院管理栄養士が作成する献立でさえ栄養素が不足しやすいと考えられる。 以上の結果を踏まえ、現在、栄養素が充足したモデル図献立の設計に取組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
病院での実施献立の調査は計画以上に進展し成果が得られている。一方、消化管に発現している味覚受容細胞と腸管運動との関連に関するin vitroでの実験は、1日あるいは2日のまとまった時間が確保できなかったため、やや遅れている。病院における甘味物質と便通との調査にはとりかかったが、参加する被験者が少ないため更なる時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
献立の調査は一段落したので、最終の今年度は、味覚と消化管運動に関する研究を集中して実施する予定である。
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