2011 Fiscal Year Annual Research Report
活性型グレリン産生阻害を介して肥満を制御する食品素材の探索
Project/Area Number |
22500794
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
仮屋薗 博子 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (20437958)
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Keywords | グレリン / GOAT / FATP / オクタン酸 / グレリン安定発現細胞 / 活性型グレリン / デスアシルグレリン |
Research Abstract |
主に胃で産生され、摂食亢進作用を有するペプチド、グレリンの活性発現にはN末端から3番目のアミノ酸であるセリンのアシル化が必須とされており、循環血液中にはアシル化されたグレリン(活性型グレリン)とアシル化されていないデスアシルグレリンが存在している。グレリンの主たる活性体は、炭素数8個の脂肪酸オクタン酸でアシル化されているが、ヒトおよびげっ歯類にはその他の脂肪酸でアシル化されたグレリンもわずかながら存在し、食物として摂取した脂肪酸がアシル化に利用されることが動物実験により明らかにされている。アシル化修飾を司る酵素(GOAT)または細胞内への脂肪酸の取り込み阻害は、活性型グレリンの産生を抑え、摂食を抑制し、さらには肥満を防止することに繋がると考え、細胞を用いた研究を行った。 前年度用いたヒト由来細胞株は、GOATおよび脂肪酸の細胞内への取り込みに関与するタンパク質FATPのmRNAを発現し、細胞内のグレリンペプチドも検出されたが、ペプチド検出量が微量であったため、この細胞にグレリンのcDNAを挿入したプラスミドを導入することによって、グレリン安定発現細胞株を作成した。親株細胞の培地ではほとんど検出されなかったデスアシルグレリンが、作成したグレリン安定発現細胞では著しく増加したこと、本細胞の培地へのオクタン酸添加により、オクタン酸の濃度依存的な活性型グレリンの分泌量増加が認められたことから、本細胞はオクタン酸の取り込みおよびGOATによるアシル化の機構が機能していると考えられた。オクタン酸添加による活性型グレリンの分泌量の増加は、数種類の物質により強く抑制され、また、ある種の物質でほとんど影響を受けなかった。 以上により、作成したグレリン安定発現細胞は、活性型グレリン産生に影響を及ぼす物質を検索するin vitro評価系として有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グレリンペプチドの発現の低かったヒト由来細胞にグレリンのcDNAを導入することによって、グレリン安定発現細胞株を作成した。数種類の物質を用いた実験により、活性型グレリン産生が影響を受けるか否かを検証できたことから、作成したグレリン安定発現細胞はオクタン酸の取り込みおよびGOATによるアシル化の機構が機能しており、活性型グレリン産生を抑制する物質の検索に適したin vitro評価系が確立できたと考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
グレリン安定発現株の培地に種々の食品成分を添加し、添加した食品成分の種類および濃度とオクタン酸アシル化体産生量との関係を明らかにする。さらに、活性型グレリンの産生を抑制した食品成分をマウスに摂取させ、in vitro評価系で得られた結果をin vivoで確認する。
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