2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガレクチン-9誘導能をもつ食品成分の探索とその機能性解析
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22500795
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Research Institution | Shokei University |
Principal Investigator |
坂田 敦子 尚絅大学, 生活科学部, 教授 (70167849)
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Keywords | ガレクチン-9 / 免疫調節 / 機能性食品 |
Research Abstract |
本研究は、ガレクチンファミリーという新しいレクチン分子群の発現誘導/抑制を指標に食品成分を解析し、新規機能性食品成分として研究開発するための基礎的知見を得ることを目的としている。 特にガレクチン-9は、自己免疫疾患など免疫応答過剰状態では抑制的制御作用を示す一方,悪性腫瘍など免疫低下状態では免疫賦活作用を示すなど、ユニークな免疫調節機能をもつ分子である。 本年度は、ヒト単球系細胞株であるU937およびTHP-1を用いた簡易スクリーニング法を確立するために、先ずこれら細胞の刺激条件と炎症生サイトカイン産生について調べた。結果、U937細胞はPMA非存在下では10ug/mLLPS刺激でも僅かにIL-6(20pg/mL以下)が産生されるのみで、IL-1β、TNFα産生は全く認められないが、10ng/mL PMA,24hrプレ刺激により強い付着性を示すようなり、さらにLPS(0.1-10ug/mL)刺激.で濃度依存的にIL-1β(60-100pg/mL)、IL-6(70-90pg/mL),TNFα(35-70ng/mL)産生を誘導し、また同時に強いガレクチン-9のmRNA発現(RT-PCR法)を誘導することが分かった。一方THP-1細胞は、PMA非存在下で3種炎症生サイトカイン産生ならびにガレクチン-9 mRNA発現の誘導が認められたが、PMAプレ刺激U937細胞に較べてかなり低かった。以上のことから、食品群の広いスクリーニングにはより簡便なTHP-1細胞を、より精密な比較にはPMAプレ刺激U937細胞を用いることにした。 これら簡易スクリーニング法で有用食品の探索を試みた結果、THP-1細胞を用いた系では、キノコ(アガリスク、シイタケ粉末)、海藻(コンブ,ワカメ)、緑茶の水溶性粗抽出液は、いずれも明らかなガレクチン-9誘導活性は認められなかった。一方、緑茶抽出液はPMAプレ刺激U937細胞系においてLPS刺激によるガレクチン-9発現と炎症生サイトカイン(IL-1β,IL-6,TNFα)産生の両方を強く阻害することが分かった。 今後、探索対象食品群や機能性食品成分の種類を増やして、引続き検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
より最適な簡易スクリーニング法を確立することが今後種々の食品群の探索において重要と考え、2つのヒト単球系細胞株を用いたより簡便でより正確なスクリーニング法の条件決定に時間をかけた結果、有用食品群の探索を3種類しか行えなかったが、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
特に、方向性などの問題はない。本年度確立した簡易スクリーニング(2方法)を用い。多糖類、抗酸化食品/成分など、できるかぎり多くの種類の食品・成分を対象に探索する。
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