2010 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析・電子回折による、原子を直接認識する教材の開発
Project/Area Number |
22500799
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
南 伸昌 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (80292572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 明彦 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (70134252)
山田 洋一 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (50143186)
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Keywords | 電子回折 / 原子・分子の認識 / 理科教材 / 質量分析 |
Research Abstract |
本研究では高校生が「原子・分子」を、特に大きさの点で、実感をもって認識できることを目的として、教室で取り扱える、簡易型の反射/透過高速電子回折及び質量分析装置の開発を進めてきた。取り扱いの比較的簡単な高真空下でも結晶構造の観察が可能である金を試料とし、グラファイトやシリコンを基板とし、結晶成長に必要な条件の検討を行った。 超高真空下とは異なり、基板表面の清浄化は期待できなかったが、シリコン基板を用いた場合、表面に金を蒸着して加熱処理することにより、清浄表面に蒸着した場合と同様の表面超構造を作成することができた。そして、基板温度や蒸着量を調整することにより、金がシリコン表面にエピタクシャルに結晶成長する条件を見いだし、透過型の電子回折パターンの観察を行った。 次に、安全性を含めた使いやすさ向上のために、電源及び装置構成の検討も行った。 電子の加速電圧が高いままだと絶縁の取扱など、学校現場に取り入れることが難しくなる。しかし、電圧を下げると電子線の透過能が下がり回折パターンが見えづらくなることに加え、電子線の波長が長くなるのでスクリーンを大きくする必要がある。まずはSHVコネクタが使用可能な-5kVでの観察を行い、パターンの強度が充分取れることを確認した。そして、その条件下でスクリーンに必要なサイズを見積もり、装置の仕様をほぼ確定した。電圧は低い方が安全性を含めた使いやすさが高まるので、更に低い電圧での回折パターンの見え方を確認し、電源の仕様等を決定する予定である。
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