2010 Fiscal Year Annual Research Report
生物における課題研究内容の充実・簡便な動物組織実験法の開発と応用
Project/Area Number |
22500808
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
梶原 裕二 京都教育大学, 教育学部, 教授 (10281114)
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Keywords | 科学教育 / 課題研究 / 動物組織 / ニワトリ胚 |
Research Abstract |
「研究の目的」高等学校・新学習指導要領(理科)に新設された「課題研究」は生徒自身が理科本来の調べる・観察する楽しさを学ぶ上で重要な取り組みで、様々な課題・方法を充実すべきである。これまでに、身近な植物を広く対象としうる簡便な標本作成の方法を考案している。本研究では、より標本作製が困難な動物組織を観察するための手法の工夫と課題の充実を目的としている。 「研究経過」一般的な動物組織の標本作成の方法は、固定、パラフィン包埋の後、ミクロトームで薄切、脱パラフィン、染色、封入という大変煩雑で、長時間を必要とするものであり、高等学校で実習が実施されることはない。そこで、極めて短時間で組織標本を作製する試みで、凍結手法の利用を考えた。包埋剤として、OCTコンパウンド、ゼラチン等試み、その内、OCTコンパウンドで良い組織標本が得られた。しかし、薄切のためには、高価なクリオスタットが必要なため、同時に試料の支持体として、植物のプロッコリー髄を利用した。髄は予め20%エタノールで水分を置換することで、氷結と硬化を防止し、加えてOCTコンパウンドと同様の硬さを保つことがわかり、この結果、クリオスタットを使用せず、通常の徒手切片法で簡便に標本作成ができた。通常のパラフィン切片法と比較しても劣らない質の高い標本であり、マウスの小腸、肺、精巣、腎臓などの組織以外にも、大脳皮質、海馬、小脳などの組織が観察できた。この手法により、高等学校において、課題研究の対象として植物以外に動物を利用できることがわかり、哺乳類に加え、無脊椎動物、魚類、両生類などの組織観察の可能性が示された。 さらに、組織より軟弱なニワトリ胚を対象として、観察に充分な標本が簡便に、短時間で作製できた。本方法により、高等学校の教科書に記載されている従来のカエルを用いた構造観察より、脊椎動物の胚の構造を詳細に理解する実習が開発できた。
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