2011 Fiscal Year Annual Research Report
生物と熱・エネルギーに関するB区分及び第2分野のカリキュラム開発
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22500815
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
正元 和盛 熊本大学, 教育学部, 教授 (60136702)
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Keywords | 校内資源 / エネルギー / 熱環境 / 生物分野 / カリキュラム / B区分 / 第2分野 |
Research Abstract |
本年度は昨年に引き続き、教材素材及び実験系の開発を試みた。 1.緑のカーテンによる冷却効果を活用して省エネルギー化を図る試みが各地で見受けられる。この緑のカーテンの冷却効果を温湿度データロガーやサーモグラフィー装置を用いて空間的、表面的に、以下の3つの要因から評価した。そこからは、空間的な効果はあまり認められなかった。従って,緑のカーテン効果は、風通りのある遮光によるヒト涼しさ感受と考えられる。 (1)遮光効果:夏午前中の熊本市内の小学校校舎の壁の表面温度は、日向が約37.5℃、日陰が約35.1℃で日向の方が約2.4℃高かった。 (2)水蒸発による温度上昇抑制:乾いた緑布Bと濡れた緑布Aの布裏の空間温度を測定した。布Bと濡れた布Aの温度差は最大で約4℃で、乾いてくると気温がほぼ等しくなった。布表面温度は濡らす前では熱画像上で3点の平均が約44.6℃だったが、濡らしたものは平均で約29.2℃となった。空間の温度は布の放熱に多少影響された。 (3)風通りによるヒト皮膚での気化熱:布のカーテンは風を遮るが、緑のカーテンは隙間があるので風の通りがある。この風が汗をかいた人に当たると気化が促進され、体表面の熱を奪うので涼しく感じる。ヒトの腕に3×3cm正方形にワセリンを塗って腕全体を濡らす。その腕に風を送ると、濡れている部分は約1.2℃低下したが、ワセリンで水をはじいた部分はほとんど変わらなかった。 (4)空間冷却の効果は小さい:上記小学校教室内の気温を、緑のカーテンがある教室Aとない教室Bで測定した。A教室はB教室に比べ10:00~14:00では平均で約0.3℃低かったが、14:00以降はほとんど変わらなかった。 2.維管束機能理解のための葉脈での転流糖、無機養分検出 ヒメジョオン葉脈でのショ糖,硝酸イオン検出実験法を児童が実施可能な形で確立し,小学校理科授業で用いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
緑のカーテンの効果としては,当初予想していた冷却効果は本実験調査からは確認できなかったが,ヒトの感受する涼しさとしては確認できた。植物維管束機能についても児童生徒用実験系を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
循環生態系での植物機能と微生物機能を児童生徒用実験系として確立することが次のステップとして求められる。それらを取り入れて,生物と熱・エネルギーの概観を理科カリキュラムとしてどのように開発していくのかが課題である。
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Research Products
(4 results)