2010 Fiscal Year Annual Research Report
非密封放射性同位元素を用いた高等学校・中学校生徒実験の教材化
Project/Area Number |
22500822
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
佐藤 浩之 東邦大学, 理学部, 准教授 (80187228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤崎 真吾 東邦大学, 理学部, 准教授 (70190022)
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Keywords | 教材開発 / 非密封放射性同位元素 / 放射線 |
Research Abstract |
2005年に改正放射線障害防止法が施行され,中学校や高等学校において相当な数量の放射性同位元素を使用して生徒実験ができるようになった.本研究の目的は,放射性同位元素を用いた生徒実験について,科学教育的効果,意義,簡便性,汎用性,安全性,確実性などに優れた教材を,高度なものから平易なものまで複数開発し,それを実際に学校で実施して多角的に評価・改良して,多くの教育現場でも実施できるよう法規制の解説や実験操作のマニュアル化を行って普及させることである.高等学校での実施を主とするが,中学校の新学習指導要領に放射線の項目が新設された事もあり,中学校でも十分に実施できる内容も検討する. 22年度に教材化を進めた実験として,ニーレンバーグらが行ったコドンの解読実験に用いる単一コドンのみを有する人工遺伝子のクローニングとT7 promoter制御下におけるmRNAの発現実験を行った結果、poly U、poly A、poly Cおよびpoly Gを発現するconstructを得た。サンガー法による塩基配列決定を平易な方法で実施するための実験系を検討したが、技術的に高校生に行わせるには難易度が高すぎ,また比較的高額な設備が必要なことと併せて,実施には解決すべき多くの問題があることが解った。また、ハーシーとチェイスの実験の一部を高等学校の生徒実験で再現するための条件検討を実施した結果,原法によるファージ保存用緩衝液中ではDNA分解酵素の活性が低く,DNA分解酵素への感受性を指標としてDNAの挙動を調べるのに支障があることを見出した。 さらに、福島第一原子力発電所の事故により,一定量の放射性同位元素が環境中に放出された事を受け,身近な環境放射線の測定に関する教材として、海水および海藻を複数種類採集して、その放射能を測定する教材開発を実施した結果,特定の海藻がヨウ素131,セシウム137,およびセシウム134による顕著な放射能を有することが明らかとなり,有望な教材となりうることが示唆された.
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