2010 Fiscal Year Annual Research Report
技能者の経験的知識の形式化による「気づき」を促す機械設計技術者教育
Project/Area Number |
22500832
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
山口 顕司 米子工業高等専門学校, 米子工業高等専門学校・機械工学科, 教授 (10220261)
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Keywords | 工学教育 / 暗黙知 / 形式知 / 技能教育 / 機械設計教育 / 機械工作 / 設計製図 |
Research Abstract |
学生が自分自身の持つ技能や技能に対する視点を認識し,それが熟練技能者の考え方とどのように違うかを自己発見できる知識データベース構築の基礎として,本年度はまず,ある機械部品を加工する際に,初心者・中堅技能者・熟練技能者それぞれのレベルにおける作業上の観点,注意点,作業手順,作業方法などの違いを明らかにすることを試みた.具体的な手法として,被験者に対して,旋削加工用の図面を見せ,図面を読んでおおよその加工所要時間の見積と,加工上問題となるような箇所を検討することを依頼した.あわせて,被験者には視線追尾カメラを着用してもらい,図面を検討しているとき,どこを注視しているかを測定した.被験者が図面を初めて見たときから,おおよその図面検討が終了するまでの時間を測定した。被験者の図面検討終了後に加工上のポイントなどをインタビューによって確認した.また,視線追尾測定の結果から,被験者の視点の集中域などを調べた.技能レベルの異なる数名の被験者に対して実験を行ったところ,技能レベルが高い技能者は寸法公差や仕上げ面粗さの指定などを重点的に注視することがわかった.一方で,比較的技能レベルが低いと思われる学生は,形状を注視することが多く,寸法公差などはあまり注視しない傾向にあることがわかった.また,図面の検討時間についても,学生は経験のある技能者の半分程度であった.以上のように,図面検討にかかる時間や検討内容の聞き取りとあわせて,視線の集中域などを検討する手法を用いることで,加工者の違いによる図面や加工に対する認識の違いを抽出するのに有効であることがわかった.次年度は,対象とする図面やヒアリングの内容などの精査を行った上で,より多くの被験者に対する検証を行い,技能レベルと機械図面および機械加工作業の認識レベルの関係について詳細に検討し,熟練技能者の暗黙知を引き出す手法を提案する.
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