2012 Fiscal Year Annual Research Report
科学的方法論を主題とした理系学生の教育プログラム構築
Project/Area Number |
22500837
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松王 政浩 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60333499)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 科学基礎論教育 / 科学哲学 / 科学者の説明責任 / 不確実性判断 / 統計的因果性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、理系の学生が将来科学・技術に携わる中で、社会に対する説明責任をきちんと果たせるように、自らが拠って立つ科学的方法の妥当性について、より自覚的かつ客観的な視点をとれるよう支援する教育プログラムを構築することである。 前年度までに、カンザス州立大学哲学部との共同研究による、因果マルコフ過程をベースにした理系学生向け授業の構築や、授業応用に向けた、科学的仮説選択に伴うInductive Risk(不確実性処理において誤るリスクの見積もり)に関する科学哲学議論の整理などを行ってきたが、最終年度はその総括の意味も含めて、これらいずれにも関係する確率・統計の基礎について、科学哲学の議論を整理、および関連の教材構築を行った。 具体的には、生物学の哲学および統計の哲学の権威であるウィスコンシン大のE. ソーバーと一年にわたる議論を行い、特に、教育への応用が見込まれる尤度主義(および、これと親和的なAIC等のモデル選択理論)について詳細な評価を行って、この立場がシンプルながらも種々の論争の中で非常に堅牢な立場を維持しうることを確認した。そしてこの議論の成果として、彼の主著の一つであるEvidence and Evolution (2008, Cambridge) の第一部(統計の哲学の部)を翻訳、彼との議論の結果を初学者にもわかりやすい形で詳細に訳註に盛り込み、『科学と証拠』として名古屋大学出版会より出版した。すでにこの本は、北海道大学の理系向け授業でテキストとして試験的に用いており、学生が研究途上で出会う種々の不確実性判断(統計的判断)に十分な示唆を与えうるという手応えを得ている。 なお本年は、工学系学生向けのテキスト『誇り高い技術者になろう』(名古屋大学出版会)第二版を共著で出版したが、その担当執筆箇所(リスク判断に関わる箇所)にも以上の研究成果が反映されている。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(2 results)